Steamサマーセールで気になっていた作品をたくさん購入したのですが、その中のひとつ「Late Shift(レイトシフト)」を遊んだので紹介します。
「Late Shift(レイトシフト)」とは…?
「Late Shift(レイトシフト)」は、2017年にイギリスの「Wales Interactive」より配信された、クライムサスペンスがテーマのアドベンチャーゲームです。
高画質実写(フルモーションビデオ)でドラマを楽しみながら、合間に多数の選択肢が入り込むという分岐展開で構成されており、スピード感のある物語が”プレイヤーの選択によって進行していく”というゲーム性としてのインタラクティブが大きく作用した、実写ゲー好きにオススメの1作です。
日本の作品でいうと「やるドラシリーズ」の実写版と思ってもらえると、興味が湧く方もいらっしゃるかと。
(2022年現在)Steam、Switch、PS4/5、Xbox、さらにはアプリ配信もされており豊富な機種(サービス)で遊ぶことが出来ます。
パッケージ版:なし(×)、日本語対応:済(字幕)、CEROは17歳以上対象の[D]とちょっと高め。
あらすじ
アルバイト先の駐車場警備員の遅番(レイトシフト)/夜勤に出勤してきた大学生のマット(主人公)は、勤務が始まってすぐに聞こえてきた異音をきっかけに、オークション会場での盗品を目論む組織に巻き込まれることに…。
逃げ場なく組織に協力することとなったマットは、彼らの仲間として計画を実行し成功?させたものの、次は組織の犯行に気づいたマフィアから追われる身となり上手くいかないことだらけ。
マットは組織のひとり、メイリン(ヒロイン)とともに身の潔白の証明と黒幕の存在を暴き出し、2人にとって最良の結果を求めて行動を選んでいくことになる…。
ボリューム
本作のうたい文句は「体験する映画」であり、1回(1周)のプレイは70~90分(~1時間半)ほどと一般的な映像作品と同等のボリューム感です。
そして映像(映画/ドラマ)を見ながらにプレイヤーへ提示される選択肢は影響範囲や重要度の差はあれど、180以上もあるとされており(公式サイトより)、その都度2択または3択から決断を下すことになります。
そして数多くの選択が枝分かれしながらも最終的に辿り着くのは”7つ”のエンディングのいずれかになりますが、これは数だけを見るとパターンが少ないと感じる人もいるかと思います。
しかし本作では、物語においてテンプレート的な集約点/必須の通過点はあれど、そこに導かれるまでの過程やセリフの違いの多さこそが特徴であり、大小さまざまに変化する場面を楽しむことが出来ます。
逆に言えば基本的には本筋を大きく外れない作りのため、バラエティに富んだ(ふざけた)分岐やエンディングはありませんし、どのルートを辿ったとしてもプレイ時間が大きく変わることはありません。
すなわち「些細な表現の違い/構造/差分」を楽しめる人向けの作品であり、ここは本作を遊ぶ判断基準の一つとしてもらえるといいかと思います。そしてその楽しみ方を好む人は存分に本作を堪能出来ると言えます。
「Late Shift(レイトシフト)」の感想
没入度の高さ
筆者が遊び始めてまず驚いたのが、選択肢が多い=セリフや場面が切り替わる中でのロード(暗転)が一切なく、繋ぎ目の違和感がない=シームレスなこと。
まさに映像を見ている流れのままにゲーム性が加わっているという「体験する映画」への没入度の高さが魅力のひとつといえるでしょう。
イギリス・ロンドンの深夜~早朝を舞台とした洗練されたスタイリッシュな雰囲気はコンセプトだけでも十分に楽しめるものです。
そして数多くの選択肢において特徴的な点が2つ。
・どれか1つの選択だけが物語を大きく左右させているようには感じられない作りになっていること。
・選択に際して(そこそこ厳しめの)制限時間があること。
これらがプレイヤーも”組織やマフィアに狙われるマット(主人公)”と同様に手に汗握る緊張感を味わえるという感情の面でのリンク度合いも高いです。
しいて言えば、通常速度の海外作品=字幕でセリフや物語を追う中にさらに選択を迫られることから、読み取る+判断するには時間的に追い付けていない、後手に回っている感覚は否めません。”決断”出来ていても操作による単純な瞬発力勝負になる場面もしばしば。
とはいえ(1周目は特に)先入観なしに、自由に楽しむのが一番なので(たとえそれが意図しない選択肢や出遅れてしまったとしても)それでいいと個人的には思いました。
選択肢との相性
プレイヤーが選ぶのはマット(主人公)としての行動(言動)ですが、制限時間はそれなりに短く、決断出来ていないとタイムアップの際にカーソル位置にあった選択肢に強制的に連行されてしまいます。
そして(実績から)チャプターが存在しているのはわかりましたが、一度物語が始まるとチャプターの概念(目印)はなくノンストップの進行です。
ポーズで一時的な中断は可能/セーブはオートのみ。
ややシビアでいじわるな印象も抱きますが、決断に際して完璧主義者や長考タイプを置き去りにするこのスタイルは超優柔不断な筆者にはもはやありがたいものでもあり、開き直って楽しむことが出来ました。
物語自体も先が気になるシンプルな面白さ(クセのなさ)と、選択肢に対して「逃げる」or「協力する」というような「(自分は)こっちだ!」が切り分けしやすくわかりやすいものが多かったです。
実際には「(自分的には)こっちは違う」と思うような選択も、次のポイントへの道順(ルート)が異なるだけで序盤や中盤に強制終了することはありません(ある意味どちらを選んでも正解なわけです)。
これは、例えば「右と左どっちの道に行く?」で片方はバッドエンド(ルート)というような裏付けもなければ運でしかない理不尽な展開は本作にはないということです。
字幕による解釈の違和感もないので、裏目に出てしまうこともなく、想像のまま直感のままに決断できるのも気持ちを乗せやすくて良かった点です。
逆に言うと物語を進行させる(途切れさせない)ための辻褄合わせ的な部分(警察に自首してもあしらわれる/逃げようとしてもドジる)もありますが、それも”過程”として楽しめる程度です。
システム面の不便さ
本作の感想でよくみられるマイナスポイントとしては2点あり、いずれもシステム面、特に周回における不便さが挙げられます(人によっては致命的とすら思われそうな点です)。
チャプター選択機能がない…やり直しや途中介入不可。
スキップ機能がない…時短不可(毎回最初から最後まで)。
これについては制作側の要因として選択肢の多さから分岐管理の面が難しいのだろうと理解することは出来ますが、プレイヤー目線ではトロフィーや実績解除の点で不便であると言わざるを得ません。
あとは特定のシーンやムービーを見直したいといったリプレイ機能(おまけ要素)もないので、”毎回最初から”というのは何周もすると飽きる恐れが非常に高く、ユーティリティの面で指摘が上がるのも致し方ないでしょう(累計実績のみ記録が見れます)。
2周目までは楽しめる(7周は厳しい)
7つあるエンディングは手放しに喜べるものは1つ、そして残りの6つはいずれも終盤の選択肢(推理)次第で結末だけが違うといった程度です。
1周目は自身の直感のままに、2周目は(1周目を踏まえての)攻略や真逆の選択を辿るなどでここまでは誰でも新鮮味を持って楽しめると思います。
そこからはエンディングの回収となる場合が多いと思いますが、物語の大筋は同じこととシステムの不便さが目立つので、以降はハマった人向けといえます。
価格自体は映画1本分程度なので、1物語にゲーム性として2周遊べれば個人的には妥当、コスパは悪くはない印象です。ちなみに筆者はSteamのサマーセールで60%オフの500円ちょっとでの購入でした。
©2017 Wales Interactive Ltd. Wales Interactive Logo is a trademarks of Wales Interactive Ltd.
©2017 CtrlMovie. CtrlMovie Logo, Late Shift, and Late Shift figures are trademarks of Late Shift Production UK Ltd.