「Replica」
このゲームが発売されたのは2016年7月。
既に7年以上の時を経て、今回遊んでみようと思い立ったのは「Replica」の生みの親であるSomi氏の2024年の新作「未解決事件は終わらせないといけないから」が巷で大絶賛されていて気になったことが始まりです。
本当はそちらを遊ぼうと思ったのですが…
・筆者がSomi氏の作品に触れるのが初であること
・【罪悪感三部作】と名付けられた特殊な?過去3作品があること
・その3作が新作の発売を記念してバンドル販売で割引をしていたこと
・お手軽に遊べそうなボリュームであること
以上からまずは【罪悪感3部作】の1作「Replica」を遊んでみました。
前置きが長くなってしまいましたが、遊んだ感想を書いていきます。
「Replica/REPLICA(レプリカ)」とは…?
韓国の個人ゲーム開発者Somi氏による作品「Replica」は、作品名は機種ごとに(なぜか)微妙に違っていて、サラッと調べただけでもSteam版は「Replica」、Switch版は「REPLICA」、スマホ版は「レプリカ」となっているようです。CEROは12歳以上対象の[B]。
プレイ時間はどこまでを完結とするかによりますが、攻略サイトを見ると3時間程度で収まるでしょうし、自力でとなると10時間はくだらないかと思います。定価はSteam版で350円というお手軽さ(セールだと100円台まで来ます)。
導入(ストーリー)
目の前にはスマホ(だと思われる)画面
思いつく限りの情報も表示されている
(日付・時間・不在着信・未読メールなど)
いざログインしようとロックボタンを押すと、
パスワードの入力要求が来た
「パスワード?」
思い当たらない…
適当にそれっぽいものを打ってみる
「1111」「2222」「3333」
(もちろん)全部弾かれる
(途方に暮れていると)
新着メッセージが届く
表示設定で1行だけ表示されている
《もうすぐ誕生日ね。》
「誕生日…!」
「ありがちだがありえるかも!」
今日の日付はトップ画面に表示されている
試しに明日の日付を入力してみた…
「開いた!!!!!」
アプリのアイコンが並ぶスマホ
「だがこれは誰のスマホなんだ???」
そこに目的を伝える電話がかかってくる…。
「電話を取ったということは、パスワードがわかったのか」
概要
本作の最大の特徴として、最初から最後まで【携帯(スマホ)のディスプレイだけ】という実にシンプルな作り。
たった1台の携帯電話(スマホ)から生まれ終わる物語です。
そしてその目の前にいる人物(プレイヤー)へ要求されるのは、会ったこともなければ顔を見たこともない持ち主のスマホをハッキングするということ。
自身も囚われの身のようで、電話先の国家保安部を名乗る組織から家族への脅迫を含んだ高圧的な態度で指示をされ反抗の余地もありません。
すなわち半ば強制的にディスプレイを操作し、携帯(スマホ)に隠されているかもしれない《持ち主のテロ容疑の証拠集め(阻止が目的らしい)》を行っていきます。
ハッキングといっても想像しうる作業…スマホから情報を得るということ。
時にはソーシャルメディアのログインパスワードを探したり、
時にはメッセージの履歴を漁ったり、
時には無理やりにこじつける書き込みを見つけたり、、、
写真/メッセージ/ソーシャルアプリなどから少しづつ情報を得て、網羅していくという直感的でインタラクティブな作品です。
そんな「他人の携帯電話(スマホ)の中を覗き見る(少しの)背徳感」と「自身の行為が監視されている(強制のもと行っている)」という相反する状況をゲーム(性)として昇華した、バチバチの尖りと攻めを見せたディストピアアドベンチャーです。
なにより【罪悪感】を前面に出しているだけある特殊な視点を生かした作り、本作があって生まれ続けるSomi氏の作品たちを見ると、スタート地点(1作目)の完成度に感嘆します。
「Replica/REPLICA(レプリカ)」を遊んでみて
「全ては国家にあり、国家以外には何もなく、国家に反抗する者は存在しない」
何の情報も仕入れずゲームを起動した筆者がまず受けた衝撃は《歓迎しない人からくる電話のリアルさと圧倒的恐怖の再現性の高さ》でした。
(当たり前ですが)突然鳴り響く着信音の瞬間的衝撃は、そのへんのホラーゲームより怖いと感じましたし、圧倒的にリアルな恐怖と呼べるものでした。
そして調査を進めている中で国家権力以外からの電話やメッセージはすべて帰宅しない(拘束されている)持ち主の身を心配している家族や恋人から宛てられたものであり、当然自分(プレイヤー)に対するものではありません。
これによりプレイヤー(の分身)は孤独を極め、権力に怯える恐怖だけに支配され、むしろそれこそが調査を進める原動力となっています。
これらの向かう先(エンディング)の1つとして、権力から逃れるがために無理やりに証拠だとでっち上げ、スマホの持ち主をテロ首謀者として突き出すものがあったり。
逆に正義感を振りかざした結果、自分が陥れられるというものもあります。
もはや見つけ、提示する答えが白か黒かではなく、いかに証拠(っぽいもの)を出せるか、行為に繋げられるか=黒であるとするかということ。
たとえば「ゲバラのTシャツを着ている写真」
たとえば「友達と内容不明の集会についてやり取りをした履歴」
たとえば「”暴動”という検索記録」
あなたはこれらを目にしてどう扱いますか?
自分の選択が他人に与える影響の大きさを感じることでしょう…。
個人的に好きなエンディングは、「自分(プレイヤー)が見ている携帯電話の相手が、逆にプレイヤーの携帯電話をチェックしていた」というお互い同じ立場だったというメタ的でもあるオチ。
他にもバットエンドによってこの世界の仕組み/自身の状況を垣間見ることが出来ます。いずれにしてもコンセプトに光るものがあり、12個ものエンディング(主人公の末路)が準備されている綿密さです。
一通り遊んでみての筆者の後味は「罪悪感と心労(辛労)が凄い」でした。
こういう(普段味わうことのない)感情をゲームとして与えられる(味わえる)というのはそれがたとえネガティブなものであったとしても中々作れるものではないと思います。
Steamの作品ページでは一定数の賛否両論の投票が目立ってしまっているのですが、遊んだ人が賛否両論の評価を選んだ理由は攻略における明確な1点(導線不備)のため、そこさえ何とかなればな…という程度で、その点は諦めて攻略サイトを見ましょう(遊んでいると必然的にぶち当たるので気づきます)。
最後にオススメの遊び方として《タッチパネルで遊ぶ機器》というのは全力で伝えたいです。
操作性及び没入感において、本作が携帯(スマホ)画面だけで完結している=現実で操作しているかのように遊べる環境/機器を選ぶべきだと感じました。
すなわちアプリ版やSwitch版あたりがオススメ。というのも筆者はSteamダウンロード&マウスで遊んだのですが、特に操作性において直感的な速度が奪われてしまった印象でした。
何度も右上の情報ボタンとホームボタン(戻るボタン)を間違えてしまったり、同じ操作においてマウスでカチカチするのがめんどくさくて不必要にイライラしていました(フリックならそうならなかったと思うのでなおのこと)。
とはいえ作品自体のコンセプトを十分に味わえる刺さる人には刺さるそんな1作。
では2作目の「LEGAL DUNGEON」を遊んできます!
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