【感想&レビュー】「夏色セレブレーション」~SIMPLEシリーズだからこそ良い、王道恋愛シュミレーション~(ネタバレなし)

【感想&レビュー】「夏色セレブレーション」~SIMPLEシリーズだからこそ良い、王道恋愛シュミレーション~(ネタバレなし)

先日PSVitaとPS3のゲームアーカイブスが廃止予定から一転、存続のアナウンスがありましたね。

筆者はPSP時代から懐かしい作品を中心に購入(ダウンロード)して楽しんでいたので、存続のニュースとはいえ廃止の話題が出ることに寂しさを覚えたり…。今回はこの機会にかつてゲームアーカイブスで遊び、印象に残っている1作を紹介します。

目次

その名は「夏色セレブレーション」

今回紹介する作品の正式なタイトルは「SIMPLE1500シリーズ vol.36 THE 恋愛シュミレーション~夏色セレブレーション~」です。長いですね。「夏色セレブレーション」です。

元々は1999年にPCゲーム(18禁ではなく15歳以上対象)で「夏色Celebration」というタイトルでヒューネックスから発売されています。

家庭用ゲーム機には翌年の2000年にPS1でSIMPLE1500シリーズの36作目として「夏色セレブレーション」と名前を変えて移植されており今回紹介するのが同作になります。ちなみにPS版以外にもドリキャス版(SIMPLE2000シリーズ)もあります(内容はPS版と同じ)。CEROは12歳以上対象の[B]。

以下本編ストーリーに対する核心的なネタバレはしていませんが、キャラクターや展開など部分的な話、スクリーンショットを掲載しています。
閲覧の判断には十分ご注意ください。

あらすじ

18歳の夏。
突如現れた許嫁と大好きな彼女…。

揺れ動く僕の気持ちは…。

引用:公式サイトより
主人公の弘介(もちろん左)

主人公は17歳、学生寮に住む高校3年生の神崎弘介(名前変更可能)。

ゲームは主人公の夏休み期間である8月1日から8月20日までを1日単位で行動を選択することで、(お目当ての)女の子と距離を縮めていくという一連の流れはタイトルそのまんま、恋愛シュミレーションゲーム/ギャルゲーで間違いありません。

システムはまさにTHE SIMPLEシリーズ。

物語の中ではじめから決められているのは、8月21日に両親から実家(故郷)に帰省するように言われた主人公が、それまでに好感度の高い女の子(彼女)を作っておくということ。

すなわち、8月21日からの女の子それぞれの準備されたルート(ストーリー)に進むために、8月20日までは攻略する子を(マップ内のスポットを選び)一直線に追いかけて、好感度が上がる(上がりそうな)選択肢を選び続けることが命題です。

個別(専用)ルートに突入してしまえば(エンディング分岐はあれど)もうお相手は決まったも同然。

逆に言えば好感度を満たしていないと、8月20日で強制バッドエンド行きです。

そして無事に迎えた8月21日…意中の女の子と旅行気分で実家に帰省してみると、そこに突然主人公の許嫁という好感度MAX状態の見知らぬ子が登場(親が帰省を指示した理由はこれ)。

許嫁の存在によって距離が出来てしまった彼女とどう過ごしていくか…というところから個別ルートの展開が始まります(例外ルートもあります)。

夏色セレブレーションの魅力

価格

筆者が本作を初めて遊んだ(購入した)ときの理由は、まずは値段の安さでした。

ゲームアーカイブスのSIMPLEシリーズは1作315円と定価からさらに良心的破格で提供されています(ゲームアーカイブス全盛期はここから更にセールをしていたこともありました)。

これによって「ハズレでもいいか!」という軽い気持ちで購入することができ、本作のように当たりを引き当てた際の満足度の高さ(コスパの良さ)は魅力の一つと言えました。

グラフィック

もうひとつの理由…こちらが個人的にメインでしたがキャラクターデザインが好みだったこと。「ジャケットの子がかわいい!」=絵柄が好きというジャケ買いが始まりでした。

グラフィックやデザインについては好みが出る点ではありますが、本作はシンプルで癖がないので敬遠されるような部分はないかと思います。

蓋を開けると個性的で魅力的、年齢も職業も様々な女の子(攻略キャラ)が(おそらく)8人準備されています。昨今のゲームより遥かに多く感じる攻略キャラクター数。これについては予想の通り?キャラクター数が多い分、各ストーリーのボリュームや深みはそれなり程度。

言い換えればキャラ数とボリュームは二者択一の要素のため、本作はキャラ数重視モノというところで割り切ることはできますし、だからこそストーリーのバリエーションは豊富ということでもあります。

そんな本作のキャラクターデザインは「GAINAX/ガイナックス」の髙橋タクロウ氏が担当しており、当時(1999年)といえば「新世紀エヴァンゲリオン」が放送され社会現象を巻き起こしたあと(進行形)のころ。

アニメ版エヴァの制作会社である「GAINAX/ガイナックス(に所属している人)」がこのゲームに関わっている(絵を書いている)というところも当時のエヴァ人気に乗じて本作の売りのひとつになっていたようです。

アニメ版エヴァをご存知の方はこのシーン、ニヤリとしてしまいますよね?

ストーリーボリュームは前述の通り多い方ではない印象ですが、かといって薄っぺらということもありません。事実、女の子たちそれぞれの個別ルートに入っても選択肢は多数あり、それによってエンディングも分岐します。

後述しますが、本作の斬新なシステムも相まってイベントグラフィックも多数存在しておりその数は100枚以上であるとのこと(公式サイトより)。

インパクト大な斬新なシステム

ここまで紹介してきた中で、基本ベースは至って普通の恋愛シュミレーションゲームじゃない?と聞こえてきそうです。

ここからが本題で以下本作における個性的な部分、斬新なゲームシステムについて紹介します。ちなみにこのシステムの印象によって評価は二分します。

マップジェネレーションシステム

まずは【マップジェネレーションシステム】ですが…早速聞いたことがない人が多そうなシステム(ワード)だと思います。

このシステムは、ゲームを最初からプレイをするたびにマップ(街の様子)/スポットがランダムで変わるというもの。見てもらう方が早いので下の画像かつ、それぞれのアイコンをご覧ください(ちなみにA~Dは見分けやすくしたものです)。

間違い探しのようですが、このように町にあるお店などのイベントスポットがプレイのたびに変わったり、はたまた変わらなかったりします。この変化に順番やパターン的なものはなく、今回ピックアップした4回に対して4回とも(たまたま)同じアイコンのスポットもありますが、すべてが全く同じということはありませんよね(寮/学校/駅ビルは固定)。

そんな【マップジェネレーションシステム】がゲーム内において何を意味しているのかというと…マップ(スポット)の違いによって発生するイベントが異なったり、該当のスポットが存在していないと発生しないイベント(取得できないCG)があるのです。

出会うまでが大変な彩(カメラマン志望)

これは周回プレイの度にスポットが変わることで新鮮味や刺激があるのと同時に、CG取得に際してはゲームを始める時点で見たいイベントを決めておき、お目当てのスポット(マップ)が出るまで最初に粘る(らなければいけない)という逆転現象が起きます。

すなわち悪く言えば手間が増える要素でもあるということです。

キャラクタージェネレーションシステム

同じく、ジェネレーションシステムがもうひとつあり、こちらは【キャラクタージェネレーションシステム】といいます。

前述の【マップジェネレーションシステム】で予想がつくと思いますが…こちらは、ゲームを最初からプレイをするたびに(攻略対象の)女の子キャラクターの性格がランダムで変わるというシステムです。

例えばメインヒロインの朝香久美子は一番初めの固定イベントの時点で分かりやすく、同じ話題でもセリフによって、心配してくれるおしとやかな久美子(A)と、キレれられる気の強い久美子(B)の性格パターンが確認できました。

ただこの【キャラクタージェネレーションシステム】については、【マップジェネレーションシステム】よりわかりづらい点が多いです。単純に各キャラにおける性格のレパートリー数が不明なのと(追記:2種類のようです)、強制イベントの久美子以外はセリフでその違いを見つけるポイントが筆者はわかりません。

何よりこの【キャラクタージェネレーションシステム】によるキャラクターの性格の違いがゲームの中で何を意味しているのか、ストーリーに影響を与えているのかが不明瞭なんです…。

単純にバリエーションの多さ、システムの珍しさをうたっているのかもしれませんが、先の【マップジェネレーションシステム】とあわせて、2つのジェネレーションシステムの存在そのものによってゲームの攻略(CGコンプリート)が複雑になっています。

次ページ…まだまだ続きます

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