クローン
今回(300回目/最後)のループ
世界(仮想空間)の【リセット】により、新しい世界が構築…最後(300回目)のループ。
・2089年(「セクター1」/1年目)
…最後のループが始まった時点で存在している森村千尋(と呼ばれる人物)は2人(A/C)。
のちにあと1人(D)増えます(後述)。
A:森村千尋(2周前)
…ユニバーサルコントロールの住人となった2周前の森村千尋(データ/AI)…16歳
C:冬坂五百里(=今周の森村千尋)
…「適合者」として生まれた今周の森村千尋(クローン)…0歳
2089年から再び始まった「セクター1」の1年目、前周回(1周前)と同じく「すみれ橋」に転送された森村(2周前:16歳)。ちなみに和泉(2周前)は32歳のデータに上書きされているため前回のループ開始時と異なり一緒にはいなくなっています。
彼女は2周前、沖野によって和泉とともに避難目的で転送された時のデータ(記憶)のため、「1人だけになっている(一緒にいたはずの2人がいない)」ことや「16年前に戻った」など、前周と同様の疑問を抱き困惑しています。
そして、ここに自分が送り込んだ井田(1周前:16歳時のデータ/AI)が機兵ごと転送され再会を果たします。
奇しくも、”2周前”のデータで復元された16歳の森村千尋と、”1周前”のデータで復元された16歳の井田鉄也、周回を超えた同い年の(になった)2人が最後の戦いへと行動を共にします。
A:森村千尋(2周前)
森村(2周前)は再び16歳から始まり、のちに時期は不明ながらも「セクター4」で森村”先生”として「咲良高校」の保健室の先生(養護教諭)となっています。
すなわち、森村(2周前)=森村先生です。ちなみに冬坂の夢に登場するピチピチスーツの「森村先生に似た女性」も同一人物です。
・1976年(「セクター4」/8年目/23歳…16歳+8年目)
…今週のループ者=「適合者」のひとりである緒方稔二(7歳)に”魔法の銃”で機兵を用意するためのナノマシンを撃ちこむ。
今周の1976年時点で「制御鍵」を持つ緒方に辿り着き、「制御鍵」によって行われている怪獣(ダイモス)の生産に、機兵の生産を割り込み指示するためのコードを撃ち込んでいます。
のちに和泉(2周前)/426が南奈津乃にシリンジ銃を使用し、「制御鍵」の掌握(固定)が可能?であるような発言をしており、その機能の掌握も可能性としてあります(詳細は不明)。
・2097年(「セクター1」/9年目/24歳…16歳+9年目)
…和泉(2周前/40歳…32歳+9年目)と対峙し彼を抹消する。
井田(1周前)からの情報で過去を補完する森村(2周前/先生)は、井田以外にも(井田より前に)「セクター0」に転送されたはずの1周前の4人(如月、三浦、比治山、玉緒)が、和泉(2周前)によって抹消された(和泉が破壊工作を行っている)と聞き、それを信じて彼を手にかけます。
深堀りするとこれは井田の”嘘(虚言)”であり、和泉(2周前)は4人を手にかけていません。
真相は4人が「セクター0」へ転移中に怪獣の攻撃起因の爆発事故に遭ってしまったこと。
それによりデータが不完全なバックアップとなって、今回のループに転送(復元)されていない状態であること(データはある)。
井田は4人の姿がない原因が和泉(2周前)にあると思い込んだか、恨んで擦り付けたといったあたりでしょう(前周で和泉に抹消されかけているので井田の言い分も理解は出来ますが…)。
つまり森村(2周前)は井田(1周前)に騙された形となり以後自身のこの行動を悔やむこととなります。
井田(1周前)は如月(1周前)を想うあまりに彼女を復元(復活)させる研究に没頭し、彼女と生きることだけを目的として他を利用したり、自分たち以外の犠牲を厭わないなど半ば暴走ともとれる行動を起こしていきます。
・2100年(「セクター1」/12年目/27歳…16歳+12年目)
…準備を進める機兵が、森村(2周前)の生態認証では起動しないことが発覚したため同時期に秘密裏に「適合者実験」を行う(2100年3月2日実施)。
「適合者実験」の詳細は…自身のクローン(新生児)を生み出し、そこに「セクター0」に保存されているデータ(森村(2周前))をダウンロードすれば「適合者」となりえるか?というもの。結果は”失敗”…「適合者」にはなれなかったとされています。
そしてこの時(2100年)に生み出されたのが、今回(300回目)のループに存在する3人目の森村千尋でもある、幼稚園児の姿をした幼い千尋(17年目時点では5歳)です。
D:(三浦)千尋=「適合者実験」で生み出された森村千尋
…実験の失敗により記憶を封じて「セクター5」の三浦家に里子に出した三浦慶太郎の妹の千尋。
ここで特筆すべきは、この(三浦)千尋に実験のためにダウンロードされたのが、予定していた森村(2周前)のデータ/記憶ではなく、2188年の森村博士のデータ/記憶だったということ。
「セクター0」には、森村(2周前)のデータと、2188年の「探査機」出発前に(2188年の和泉によって)設定された(⑤)、森村博士のデータの2つが保存されており、そのことを把握していなかった(知らなかった)ことから間違えてダウンロードしてしまったと考えられます。
実験の結果としてはどちらのデータであったとしても「適合者」にはなり得ないため”失敗”となりますが、この2188年の森村博士のデータ/記憶が、予定外で実体化したというのが(物語において)重要な点となっています。
ちなみに、ダウンロードしたデータが本来予定していたものではなかった(間違っていた)と気づかなかったのは、「生み出したクローンが新生児であり意思疎通が出来なかったため」と郷登蓮也が推測しています。
・1985年(「セクター4」/17年目/32歳…16歳+17年目)
…(三浦)千尋に抹消される。
森村(2周前)は自身が生み出した実験サンプルである(三浦)千尋を、「森村(2周前)の記憶」を有していると思ったまま、「その記憶を封じた」うえで、自分と接点が生まれないであろう「別のセクター(セクター5)」へ移動させています。
しかし(三浦)千尋が、自身の前に現れ(ある意味)自分に抹消されるという最期を迎えます(理由は後述)。
C:冬坂五百里
次に紹介したいのは冬坂五百里なのですが…
そもそも、冬坂五百里とは何者なのか…?
なぜ森村千尋の姿をしているのか…?ということから始めましょう。
彼女の正体は、今周回の森村千尋(のクローン)で「適合者」15人のうちのひとりです。
すなわち、名前が違うことで混乱しやすいのですが、むしろ”名前が違うだけ”で彼女は冬坂五百里であり森村千尋なのです。
では…
「セクター4」に移動させたのは最終戦の舞台や、自身の拠点を「セクター4」と考えていたからではないかと(井田のアイデアだと郷登は読んでいます)。少なくとも「セクター1」から”怪獣(ダイモス)”が侵略を始めることが関係している(「セクター1」以外に逃がしておくことが目的)と思われますが、ここら辺は語られていないため(筆者の)推測です。
彼女の行動はイベントアーカイブで時系列で追えるため、ここでの紹介は省略します。
これにより…
最後(300回目)のループの最終戦(17年目)の時点で「森村千尋」に関連する人物は3人存在している(いた)ことになります。
A:森村(2周前)/森村先生
…32歳(16歳(2周前)+16年間の記憶)
C:冬坂五百里
…16歳(2089年生まれ/16年間の記憶)
D:(三浦)千尋
…5歳(2100年生まれ/2188年・森村博士の記憶)
彼女たちはそれぞれに違った記憶を持っており、見方によってはもはや別人ですらありますが、結局のところ”遺伝子情報が同じ”ということが大きいと言えます。
いくつかの疑問
冬坂五百里が見る夢
冬坂に投薬していたアンプルの中身は”森村先生のこれまでの記憶そのもの”であったため、現実味はあるものの、たとえば…冬坂には《クラスメイトの鞍部/網口(に見える人物)》が、夢の中では《和泉/井田と呼ばれている》など混乱する&彼女を悩ませる原因となっていました。
森村先生の机に残されていた記録では冬坂五百里に7回の投薬が行われていたことが分かっています《ミステリーファイル223》。
森村先生はのちに(施設の耐用年数から)今後ループが行えないことを知り、この件(体を奪い取ること)は不必要…「諦めた」と語っています。
イージス作戦
ただし「イージスシステム」を起動することで、ループ機能が使用できなくなり、”今周回で世界(ループ)が終わる”…それを自らの手で下すという大きな決断と犠牲(対価)を伴う作戦です。
では…
次のループが起こらないと分かっている中での今周回の自分たちの最善の未来は、”怪獣(ダイモス)”がいなくなった世界で寿命を全うすること(廃墟で生きながらえなければならないとも言える)として「イージス作戦」を提言したわけです。
しかし、彼女はこの「施設エリアの耐用年数が限界」…最後のループであることを公にしていない状態で「イージス作戦」を謳っていることから、詳細を知らない(最後のループだと思っていない)関係者たちがループ(未来)を諦めるともとれる「イージス作戦」に反対するのは当然と言えます。
特に次のループを大いに待っている(次のループでもう1度やり直したい)、井田(1周前)や関ヶ原から反感を買うのは無理もありません。
(三浦)千尋は実験により誕生した際、(手違いで)2188年の森村博士のデータがダウンロードされています。すなわち2188年の『箱舟計画』を成功に導くための使命感に満ちた記憶を有しています。
そんな森村博士からすれば『箱舟計画』を遂行させることが出来ない、ループどころか世界を終わらせてしまう「イージス作戦」を実行しようとしている森村先生/森村(2周前)は、始末するほかないというわけです。
本来は作戦計画に気づくはずがない(三浦)千尋=森村博士が、(実際の意図は違うものの)郷登によって「セクター4へ移動」してきたことで「記憶が呼び起こされ」➡「森村先生の事/作戦を知ってしまう」というルートを辿りながらも、彼女もまた目的は変われど「未来の人類」を”導く者”としての役割を果たしたといえるでしょう。
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