【感想&レビュー】「セカンドノベル~彼女の夏、15分の記憶~」~彼女の限られた記憶を埋め繋げるのはあなた~(ネタバレなし)

【感想&レビュー】「セカンドノベル~彼女の夏、15分の記憶~」~彼女の限られた記憶を埋め繋げるのはあなた~(ネタバレなし)

オススメ(レビューリクエスト)していただいた作品「セカンドノベル~彼女の夏、15分の記憶~」をクリアしました。

とにかくこの”物語”を忘れないうちにクリア後感想&レビューを書いていきます。

以下、本作のゲーム本編のスクリーンショットを掲載しています。
物語の真相など核心的なネタバレはしていませんが、クリーンショットによって意図せず情報開示している可能性もあるため閲覧の判断には十分ご注意ください。

目次

「セカンドノベル~彼女の夏、15分の記憶~」とは…?

「セカンドノベル~彼女の夏、15分の記憶~」は2010年にPSP用のソフトとして、日本一ソフトウェアより発売されたアドベンチャーゲームです。

ちなみにPS Storeの紹介欄では、《青春-自己-探索-ミステリアス-認識-アドベンチャー》と凝った?多くの要素を持ち合わせたものになっています。

CEROは12歳以上対象の[B]。

筆者のクリアまでのプレイ時間は約17時間(EXまで読了/おまけ小説は未読)。

ボイスは主人公も含めてすべてONにしていましたが、基本的には文章(文字)のほうで物語を追っており、音声は飛ばし目でのクリアタイムです。

あらすじ

直哉と彩野(直哉の顔/表情は最後まで明かされない)

夏休みに帰省を果たした直哉は、高校時代に思いをよせていた同級生・彩野と出会う。
5年ぶりに会った彼女は、『15分しか記憶を保てない』記憶障害を負っていた。
この夏、2人は再会を機に、学生時代を振り返り始める—— 

引用:PSStore製品情報より

特徴

本作のスタイルとしてはタイトルにもあるようにノベル(小説)ゲーム的=文章を読み進めていく作品だといえますが、この”文章を読み進める”という主軸に直接的にゲーム性が加わっており、その作業(操作)が作品の世界観、雰囲気、テーマなど持ちうる要素に非常にマッチしているといえます(後述します)。

この特徴におけるもの珍しさや意欲を評価したいというのもあったり…重箱の隅をつつくような点を挙げようと思えばあれこれ出せますし、鼻につくところもあれど、それを補ってあまりある斬新さと新鮮味(もう11年前の作品ですが…)、物語構築の発想と運びのうまさにただただ唸ってしまったというのが一番の感想です。

個人的には全体像(コンセプト)を含めて隠れた名作ともいえるクリア後の満足感です。

クリアして「こんな作品見たことない!プレイしたことない!」という衝撃が凄まじかったのですが、本作のディレクター/シナリオライターである深沢豊氏の作風を知る人たちからすると、これがまさに「深沢節」と呼ばれる特徴ある作り、いつもの!安定の!感が強い作品のようです。

筆者は初めて深沢氏の作品をプレイしました。

キャラクターとグラフィック

ゲーム内で経過する期間は数日と短く、物語に絡む中心的な人物は6人

人物(キャラクター)の容姿において混乱するような点はありません。

デザインは柔らかい雰囲気かつリアル寄りの印象で、悪くいえばアニメーション的な個性、インパクトは薄めですが、癖がないので敬遠されるようなこともないでしょう(個人的にはリアル寄りが好み)。

コレクションされるグラフィックも70枚と豊富です。

概要

まずは本作の大筋を紹介します(ややあらすじともダブります)。

(プレイヤーの分身ともいえる視点の)主人公の直哉は、5年前・高校2年生の時に失った親友のユウイチ

時を同じくしてユウイチの後を追うように事故に遭った彩野

2人に起きた”真実”を5年の時を経て『彩野が作る物語』として追っていくことになります。

今現在、”真実”…出来事の原因や理由など詳細を知る人物は、(ユウイチはこの世を去っていることから)彩野のみ、すなわち『彩野が作る物語』頼みなのですが…その彩野は、事故の後遺症で(事故の)数日前からの記憶を失っており、新たな記憶の蓄積も出来なくなっています=彩野の記憶は17歳(高校2年生)で途切れたままです。

ゲームシステム

この『彩野が作る物語』を追う(進める)上で、彼女が「15分」しか記憶を保持できない語ることが出来ない=「15分」経過すると記憶が全てリセットされてしまうというネック部分。

ここにプレイヤーが直哉(主人公)として介入し、彩野を上手く導く/サポートすることで”真実(真相)”を追い求めていくというのが本作のゲーム性であり醍醐味です。

介入という点において【ストーリーモード】【フラグメントモード】の2つが存在し、それらを行き来することでネックの解消、進行を図っていきます。

この作業が特殊というか第一印象は少しとっつきづらさもあったり…。ただ結局は繰り返すことによる馴れなので、序盤は多少の我慢も必要です(序盤で掴めずにやめてしまうのはめちゃくちゃもったいない!)。

以下それぞれのモードを紹介します。

①:ストーリーモード

★①:『彩野が作る物語』を聞く

…彩野の記憶(時間)が持つ限り、彼女が作る物語を聞くパート/架空(創作)または過去(5年前)の真実。

ゲーム画面では砂時計(左上)が彩野の記憶のリミット(15分)を表しています(ゲーム内目安/実時間ではありません)。

②:フラグメントモード

★②‐①:聞いたことをあらすじ化/カード化する

…彩野が作った物語のあらすじを一緒に考えながら(まとめながら)、物事を整理したり、詳細を探ったりするパート/現実世界そして現在。

★②‐②:キーワードをカード化する/される

…「カード」は彩野に聞いた言葉をそのまま書いたり、直哉(彩野)の気づき、拾い上げたキーワード、あらすじとして作成したものなど多数存在しており、②-①、②-②に順序性はなく(基本は)自動的に蓄積されていきます。

「カード」は横15×縦13=195枚

この作成した(された)「カード」はのちに新たなあらすじ、分岐点、選択肢を作成する際に彩野から問われた質問の【答え】や【きっかけ】となるように(所持している中から)正しいものを渡すことがプレイヤー(直哉)に要求されます。

序盤は枚数が少ないので容易に選び出せるのですが、「カード」が増えていくことによって複雑さも増していきます(ゲーム的な難易度が上がっていきます)。

とはいえ「カード」の選択において【答え】とされるものは一つのため、正解するまでトライアンドエラーを繰り返すだけではあります。

結果(進行原理)

《スキップ》によって、彩野の説明時間のロスを防げる。

【ストーリーモード】【フラグメントモード】を行った結果として、①彩野から聞いた物語を、②あらすじ化=上手く嚙み砕いて簡素化(カード化)することで、彩野が物語を作る上で既存部分の理解時間が短縮される(物語が)先に進む徐々に真相に近づいていくという仕組みです。

そしてこの繰り返し(作業と読込み)によって、プレイヤーの物語(作品世界)への理解も深まっていくといえます。

次ページ…まだまだ続きます

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