展開
セクション
『彩野が作る物語』はセクション単位で分かれており、セクション内の各エピソードの切れ間やセクション自体の終わりと、現実世界(パート)がリンクすることで1日/時間の経過が分かりやすくなっています。
朝から始まり、セクションが終わるころに夕方になっているといった感じ。
作品世界にのめり込むとはいえ、物語(5年前)だけを追うわけではなく、現在(現実)が合間に入ることによって過ぎ去った日々や、それぞれのその後(今)の姿を知ったり…。さらに現在視点から5年前に繋がる欠片を手に入れることもあったりと、この行き来が良いアクセントになっています。
時間軸の進みに不整合はなく、タイミングや量を含めてバランスが良く感じました。
バッドエンド
進行する中で必然的に遭遇するようになっている《バットエンド》
言い方を変えれば《進行不能/ストップポイント》
まず先に答えを言うと本作において辿り着くエンディング(結末)は一つだけです。
何が言いたいのかというと、彩野の記憶が途切れる”タイムオーバー”、物語のルート(選択肢)が無くなる”ゲームオーバー”といった強制終了の《バッドエンド》は発生すれど、常に【フラグメントモード】であらすじカードを作成したり、選択肢を増やすことで物語に新たな展開が生れます。
すなわち、《バッドエンド》が出現する=『彩野が作る物語』の中で見ていない/作れていない展開が残っているということです。
そして《バッドエンド》に辿り着くことで新たな展開の発生ともなっているため、このことはいわば《バッドエンド》も含めての物語とも言えますし、生まれた展開に(ルートを間違えたかもと)疑念を抱いたり迷う必要はありません。
進行に行き詰まってしまっても現在出来上がっている部分(物語)を見直す/やり直すことも(ことが)カギとなっているため、根気強く登場人物の言葉に耳を傾けましょう。
選択肢や分岐
進行していく中で気づくことではありますが、作品の中心となっているのは『彩野が”作る”物語』であり、同時にそれを受け取る(聞き手)は直哉のみ。
直哉の受け取り方、考え方”だけ”で出来上がっていく印象、推測、そして判断が(ある種強制的に)行われていくことになります。
これによって、真実を追うため/物語を進めるために、直哉から彩野への印象操作で(時には意図的にそちらに向かわせるなど)分岐する展開が生まれ/生み出し、作成済みの物語とは違う展開(選択肢)が出来上がっていくことが多々あります。
そしてここに物語にのめり込ませる要因があるのですが…同時に混乱にも導かれることでしょう。
ただこれが面白さでもあるわけです。
不満点:ややピンとこない問いかけ
個人的に唯一といってもいい本作の不満点はゲームシステムで紹介した「カード」とその使い方に関して。
彩野の問いかけに対して「カード」を選択、キーワードを提示するわけですが、この彩野の問いかけがイマイチ的を得ていないといいますか…。(全てではないですが)直感的に「このカードだ!」と導かれることが少なく感じました。
間違った「カード」を選択してしまってもペナルティはなく、やり直しが可能なので(ヒントがさらに積み重なっていく)、結果的に【答え】に辿りつけるようにはなっているのですが、いざその【答え】が分かった時に「あーそれか!」「そっちだったか!」となれなかったり…時には「自分が選んだやつのほうがしっくりこない?」と納得がいかないことも多く、ここに関しては攻略というスッキリした感触がなかったように思います。
あと195枚もの多さゆえに単純に指定された「カード」が、(分かっているけど)どこにあるかが分かりづらかったり、辿り着くのも大変でしたね(ただの愚痴)。
つづく
以上ここまでは作品の概要説明的な感想になります。
感想の分量が半端なく多くなってしまったことと、ネタバレなしで書き連ねることが限界に達したので(既にネタバレしてないかな…)、次回【ネタバレあり感想】に続きます。
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