クリア後感想
一新されたデザインと登場キャラクター
本作のデザイン、キャラクターの見た目など今回の「5」にてこれまでのナンバリングから一新されています。
デザインについては”和”なテイスト感が強くなった印象で、その中でも筆文字、筆絵でのストーリ説明(表現)が個人的には好きでした(キャラもの感が薄くなって第一印象で敬遠されづらくなったかなと)。
キャラクターデザインについては個人的な好みはさておき、全体的に柔らかいイメージ(タッチ)になった気がします。
ただ一新とはいえ既存キャラはパッと見でも誰かわかる程度にはこれまでのイメージは残っており、各個人のテーマ的な部分(見た目から受ける印象)は大きく変わっていないと思います(既存ユーザーにはめちゃくちゃ叩かれていますが、そんなに文句言われるほど変わったでしょうか?(小声))。
織田信長は奇人感を出したこれまで(「1」~「4」)のデザインがどうということではありませんが、本作の”主人公ポジション”として、柔らかさを持ち合わせている部分で好感が持てるものだったと思います。
ちなみに信長と光秀は5章から年月の経過によるものとして見た目が変わります。
リストラキャラと新規参戦キャラ
筆者は特定の推しキャラなどはいませんが、今回リストラされてしまった(リストラという表現はいまいちですかね)キャラクターは数名いて、その中でも森蘭丸は世間的に人気がある印象だったので外れてびっくりもしました。
過去作に推しキャラがいたり、デザインが好みだった人からはここで評価を下げられてしまったりもするのでしょう。
森蘭丸に関してだけでいえば織田信長との関係が近すぎて(怪しくって)、織田信長を中心とした物語を描くときに”置き場に困る”というのは分からなくもなかったりします。
中途半端に描くくらいならバッサリ無き者とされているのはむしろ潔かったと思います(そういう理由で外れたわけではないのかもしれませんが…)。
登場しないキャラがいれば、新規参戦キャラもいて、そういった点では違和感はなかったというか…新たに参戦した瀬名、みつき、三太夫などは過去作の同系ポジションに収まるキャラクター(ねね、くのいち、佐々木小次郎)との入れ替えといった印象です。
他にも新しく登場したキャラクターで印象的だったのは山中鹿介(やまなかしかのすけ)。
こちらは明智光秀に焦点をあてた物語において、明智光秀の歩んだ「本能寺の変」までが描かれており、光秀の物語(思想)に欠かせない人物として登場しています。
これまでの「戦国無双」の描き方であれば、間違いなく短縮されて描かれない(さっくりナレーション)であろう、尼子家の物語や光秀の辿った足跡(士官先の系譜やそこでの人脈)として彼の存在が大きく光秀の物語を表現してくれていたと思います。
単体で見ても鹿介が非常に魅力的なキャラに映り(イイヤツすぎるんだわ…)、人気が出そうな気がしています。
ストーリーと主人公性
本作で筆者が良い意味で裏切られた点として紹介したいのはストーリーの部分です。
「無双シリーズ」は史実をなぞるように描くからこそ、それに伴いどうしても描かなければいけない出来事であったり、それは悪事や万人には受け入れられないようなことが時代背景含め多々あるのは周知の事実でしょう。
そしてそれらをプレイヤーに飲み込ませるために、ナレーションでざっくりと流したり、無理やり何とかしようと都合よく捻じ曲げた感がある、それをひしひしと感じてしまうのは無双シリーズとしてはもはや”常”、それが”普通”として受け入れているユーザーがほとんどだと思います。
実際のところアクションゲーム部分を目当てにしているプレイヤーが大多数のため、ストーリーにかみつくようなこともない、むしろストーリーはどうでもいいとすら思われている気もするのですが(笑)、だからこそ今作は(過去作に比べると)ストーリー部分もしっかりしているな!と筆者は感じました。
あくまでも「戦国無双」基準ですし、すべてとは行きませんが、出来事に対する経緯や行動の裏付けが違和感なく描かれていた場面が多かった印象です。
特に織田信長は史実では「うつけ」と呼ばれ、人道に反するようなことや奇行ともとれる行動が記録に残されており、それらは歴史的出来事として変えられない事実でもあります。
こういったところがこれまでであれば都合よく片づけられるか、またはバッサリと切り捨てられていた印象ですが、今作は織田信長を主人公にする以上はしっかりと向き合わなければいけないことして丁寧に扱われているように感じました。
”主人公”という立ち位置を重視した、万人寄りのプレイヤーが不快感を抱かないような描き方ではあるものの、弟(信行)との決裂に至った経緯や比叡山の焼き討ちを決行した理由など、(実際とは異なるでしょうが)出来事の解釈としてうまく昇華されているかつ、解釈がその都度の心理状態など要因含め理解できたところが非常に良かったです。
このストーリーの深みが結果として既存キャラの描写に繋がっており、特に帰蝶(濃姫)は信長に近しい人物として、これまでよりも(戦国無双としては)しっかりと人となりが描かれていましたし、帰蝶(濃姫)が起因となる出来事の整合性や、信長がその行動に至る背景としてそこまでに描いた距離感も良かったと思います。
唯一言えば、ストーリーもしっかりしているように感じたからこそ、信長と光秀の関係性、決別した展開はいまいちというか…光秀の「本能寺の変」への行動心理については「いつもの無双っぽい飲み込ませ方だなぁ…」という印象でした。
この点についてはゲームとして「本能寺の変」がクライマックスではあるものの、全体を通しては信長と光秀の関係性を重視したストーリーではなく、信長の物語と光秀の物語がそれぞれの視点(「本能寺の変」にたどり着くまで)で描かれており、時に歴史的出来事(決戦)を介して接点として交わる、別物として楽しめるという感じでした。
総括
久しぶりの「戦国無双」はシリーズファンとしてはこれまでどおりの十分に楽しめるものでした。
ただ裏を返せば、機器(ハード)に合わせた画面の綺麗さ、デザインの変更やストーリーの(些細な)解釈の違い、ダンジョンのバリエーションなどマイナーレベルの進化に留まっているとも言えます。もちろんキャラクターデザインが変わったという点が非常に大きいというのはありますが…。
正直、無双シリーズは来るところまで来ている(完成している)感があって、変化/変更くらいしか今後ももうないのかな…という気もしています。
「戦国無双5」だからこそ!今回から!という真新しさとして推すほどの要素はなく、あくまでもいつもの無双です。「いつもの無双の”最新作”」という点にどれだけ惹かれるかになってしまうのかもしれませんが、それでも7年ぶりの新作、筆者は間違いなく楽しめました。
シリーズ経験者も、初プレイでも、気になっている方にはオススメしたい1作です!!!
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