【ネタバレなし】ワールドエンド・シンドローム/クリア後感想&レビュー

今回は感想を書くのが遅れていた「ワールドエンド・シンドローム」を紹介します。複数のジャンル要素を持ちあわせ、それらが融合した良質なアドベンチャーゲームでした。

物語の性質上ネタバレに触れることで本作をプレイすることの魅力が半減してしまうため、物語の核心に触れないようにしています。
細心の注意は払っていますが、意図せず伝えてしまう情報もあるかもしれません。閲覧には十分ご注意ください。
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「ワールドエンド・シンドローム」とは…?

「ワールドエンド・シンドローム」は2018年8月30日にアークシステムワークスより発売されたアドベンチャーゲームです。公式サイトでは「ミステリー×恋愛アドベンチャー」という触れ込み。対応機種は、PS4、PSVita、Swhichと豊富です。私はSwhichのパッケージ版をプレイしました。

CEROはC:15歳以上対象。個人的には、ミステリー、恋愛、どちらの面も制限がかかるほど過度な描写や表現はなかったように感じました(主人公のやったことのせいとかなのかな)。特にミステリーやサスペンス的なグロさは(ほぼ)ないので、その点を心配している人は気にしなくて大丈夫かと(個人の感覚です)。

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物語

百年に一度、死者が蘇り禍(わざわい)をもたらすと云われる「黄泉人伝説」
この伝承が残る田舎町「魅果町(みはてちょう)」に主人公が訪れる電車の中から物語は始まります。

百年に一度の伝承の年に起こった「2人の女子学生行方不明事件」をきっかけに浮き彫りになっていく、町に潜む謎の数々。

被害者が共通して持っていたのは「黄泉人伝説」をモチーフに書かれた小説「ワールドエンド」

そして小説の「映画化」に伴うこの夏の撮影と、出演を熱望したアイドル「二階堂玲衣」

映画のスポンサーであり、町の名家「神代家」と、かつて肩を並べる名家だった「甘奈家」の存在と関係。

さらにローカルラジオ番組「ワールドエンド・シンドローム」で伝承にまつわる意味深な言葉を投げかける正体不明のDJ「月丘ひかる」

事件と伝承の関係を取材(調査)に来たライター(外部者)など、主人公はこれらすべての出来事と人物たちに関わっていくことになります。

そしてひょんなことから参加することになった「ミステリー研究会(通称:ミス研)」での交流を通して伝承の謎、物語の真相へと近づいていきます。

今作にちりばめられた伏線の数々は、公式サイト内に作品雰囲気を踏襲した、<<魅果町の真実に迫る>>というサイトページが準備されています(プレイ前後どちらでも楽しむことが出来ます)。
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物語の流れ

本作は序章、本編(女の子5人の個別ルート)、真相編と3部構成になっています。

まず序章は主人公が魅果町に転校してきた6月の初めから7月30日までの期間を描いています。町の雰囲気や人物たちとの関係性などを絡めた概要説明的なダイジェストで、選択肢はほぼなく(選択肢の影響はなく)、読み物という感じ。

そして7月30日を迎えた時点で必ず、WORSTENDと呼ばれる8月31日のバットエンドを強制的に迎えることになります。その選択肢しかないからです。

初見では何もわからないまま、ストーリー上最悪な終末を見せられるわけですが、可能性のある展開(未来)を1度見ることによって、7月30日に再び舞い戻った際の新たな選択肢に気づき、WORSTENDを迎えないために。という意識でプレイヤーは本編へと進んでいくことになります。

物語の中心となる本編は夏休み期間(8月1日~)の約1ヶ月間。アドベンチャーゲームとしての選択肢が存在し、登場する女の子が主軸となる個別ルートが準備されています。ここでは(ほぼ)決められた順番で5名分すべてのストーリー見る(攻略する)ことで、最後の真相編が発生します。

真相編は本作の謎に対する答え合わせとなっており、読み物です。

個人的には沙也推しですが、個別ルート以外は不遇さが目立つ彼女…

攻略するという自由度は低いですが、物語を取りこぼしなく段階的に理解する上で半強制的にでも決められた流れがあってよかったと個人的には思いました(これについては最終盤にしか思いませんでしたが…)。

ただ本編でそれぞれの女の子とのエンドを迎えることを繰り返し、すべての女の子を攻略したうえで真相(編)に導かれるというのは、本作はループ物ではないので実質最後の一人が公式ルートということなのでしょう。そういった意味ではそこまでの皆をおざなりにしている感もあったりしますけどね(笑)

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ゲームシステム

5人の女の子と過ごす夏休み

攻略が始まるのは序章とWORSTENDを見終えた本編、8月1日から。

1日3回(朝、昼、夜)の自由行動があり、その都度タウンマップの中から訪れる場所を選びます。選択する場所=お目当ての女の子に会う=好感度が上がるという、至ってシンプルなギャルゲーや恋愛シュミレーションゲームといった感じです。

ただしマップ上のどのスポットにお目当てのキャラがいるのかは不明。

”その日”を過ごす、訪れる(イベントを見る)と次の子のルートでは同日のマップ上に既読であること(キャラの存在)が表示されるようになります。これは同じ期間(8月1日~)を5人分見るという周回要素において各ルートを進めていくごとに楽になっていく仕様ですが、序盤のノーヒント状態で出会うのはまさに運でしかありません。

周回の終盤はこんな感じで、ほとんどのキャラクターの所在が明らかになります。

一応個別ルートに入ると個人の行動範囲が把握でき、所在は多少わかりやすくはなります。探す必要のない約束や、強制イベントも発生します。

ただ見えない(わからない)とはいえランダム出没ではなく固定所在の(裏でもストーリーは存在している)ため、どこかでちゃんと出会えるようになっています。

トライ&エラーに際してセーブとロードはクイックではないものの、朝、昼、夜の行動の度に可能(セーブは一日の最後にもあり)なため、やり直しも容易です。ちなみにセーブ数は100個あります。

エリア→スポットと選択肢は多め。

注意点としては、前述の通り攻略対象の順番が決まっている(制御されている)ため、自分の好みなど自由に攻略していくことは出来ません。ロック解除要素(好感度が満たないと解放されない)もあるため、ある程度は攻略情報を見てしまうのもアリだと思います。

あと既読スキップ速度は最大にしてもやや遅いかなと感じました。これは周回要素によって、既読スキップしたい場面が多かったので気になりました。とはいえ全然許容範囲レベルではあります。

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本作の魅力

メニュー画面がめちゃくちゃ好き。

私自身は公式サイトから漂う雰囲気、個性、圧倒的世界観の時点でめちゃくちゃ惹かれたことで本作を購入しました。プレイを開始してからもオープニングにノイズが入り場面が切り替わる演出の時点で、「間違いない」と確信する程にセンスが光っていました。

グラフィック

「伝承が息づく長閑な海町でのひと夏」を魅せる、豊富なスポットや多数の背景描写によって本作の世界観が確立され、引き込まれます。そのどれもが町の雰囲気を作りだしています。

絵のタッチやテイストは好みが出ますが、個人的には抜群に好み。

画面から伝わってくる夏の雰囲気、うだる蒸し暑さ、日向と日陰の温度感、夜は涼しさも共存する加減が素晴らしい。絵でここまでのことが伝わってくることに驚きもしました。天気、昼夜の違いもありバリエーションも豊富。手抜きが一切ありません。

建物も外観に室内にと非常に多いです(これはごくごく一部)。

更に背景の中でも波、水槽の魚、風車、扇風機などどこか一部が動いていたりします。それらは環境音と相まって雰囲気をさらにアップさせています。

なにより背景描写にだけ注目出来たり、ここまで吸引力のある作品は中々ないかと思います。

表現の幅

本作は立ち絵といえども、正面、後ろ姿、横顔の使い分けがあり、あわせて上下左右、四方向への動きや寄り引き、その速度によって多数の表現が生まれています。

これは立ち絵のみ(読み物ゲー)でありながらも、その表現の限界に挑戦していると言いますか、むしろあえてその枠をはみださないように最大限の表現をしていると感じました。細かな芸がオシャレさを感じます。

こだわり

物語に大きく関わってこないような小物(アイテム)やロゴ、アイコンなどについても、説明込みでデザインも作り込まれていてこだわりを感じます。本編に重要な関わりではないと言えども、この些細な描写もまた作品世界を盛り上げている要素です。

たとえば神代家が経営する世界的菓子メーカー「神代堂」。

神代沙也がその家のお嬢。だからお金持ち。というバックボーン説明のための存在で一言で片付けられそうな部分において、代表的な商品名(複数)やCMまで準備されています。これによって、沙也ルートや花子ルートと共に「神代堂」にもインパクトを残すあたりがうまいです。

場面の切り替わり

アドベンチャー部分、テキスト読み部分やムービーとの切り分け、メリハリのつけ方が秀逸で、これは”センス”という表現が一番わかりやすいかなと思います。

場面の切り替わりにインパクトがあり、1本の映画作品のような流れる展開をゲームという媒体でプレイしながらに味わうことが出来ます。これはゲームだからこそ珍しい、その珍しさが魅力的ポイントであり、力が入っていると感じた部分です。

これらの部分を芸術的観点で味わうだけでも元は取れていると思えるほどです。

コンプリート要素

ワード収集であるTips、物品コレクション、ミッションなどのコンプリート要素も十分。本編を交えながらの共存要素であり、Tipsのワードセンスなど遊び心満載の楽しめるポイントです。本編の補足としての作り込みが素晴らしい。

魅力的なキャラクターたち

攻略する女の子たち以外にも印象的なキャラクターがたくさん登場します。

それぞれに魅力があり、イベントで関わったり、町で行動する彼らにお目にかかることもあります。キャラクターの多さと丁寧な描写もまた物語を複雑怪奇な方向に働かせており、楽しくも怪しく存在感を放っています。

次ページ:物語の感想

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