先日、現在絶賛上映中のガンダム映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」を鑑賞してきました。
今回は「閃光のハサウェイ」を見に行く直前までガンダムに何一つ触れたことがなかった筆者が、見に行く前に予習した作品など、同じ”ガンダム初心者”の方向けに「閃光のハサウェイ」の視聴に関する【Q&A】をまとめてみました。
【Q&A】
筆者も本作に興味を持った時点で一番気になったところです。
「本作(閃光のハサウェイ)から見てもいいのか?」というのは初見者は絶対に気になるポイントですよね。
『ガンダム』そのものの関連作品が多いからこそ(規模が大きいからこそ)予習をするにしても「(いまさら)どれから見ていいのかわかんないよ…。」「途中からじゃ入れないでしょ?」「見るにしても順番わかんないし…。」なんて調べる前からこんな気持ちになっていませんか?
これらはすべて筆者が思っていたことなんですが(笑)、同じ気持ちの人は結構いると思います。
実際のところ「閃光のハサウェイ」を楽しむ分には押さえておきたいところ(作品)は”映画1作だけ”です。それもかなりシンプルで分かりやすいのですが、その説明を聞くのも惜しい!予習する時間はない!ということであれば「「閃光のハサウェイ」から見てしまって良い。」と筆者は思っています(個人的な意見です)。
主人公/ハサウェイのバックボーンは過去作にて得る部分もありますが、「閃光のハサウェイ」の物語自体は独立したものです。すなわち映画本編を鑑賞しながらに理解する部分が大半を占めていますし、中心となるキャラクターたちも過去作を見ていないと分からない!なんて人はいません(知っていると面白いとかはありますがその程度)。
筆者個人としてはこの後紹介する映画1作は見ておいた方が楽しめる!とは思っていますが「閃光のハサウェイ」からガンダムに飛び込んだとしても、鑑賞中に知識不足で全然理解が出来ないとか、難しくて置いてけぼりになるなんてことはないです(何度も書きますが個人的な意見です)。
上記で書いた通り、予習ゼロ(知識ゼロ)だとしても「閃光のハサウェイ」を楽しむことは出来ると筆者は思っています。
ただ割引一切なしの完全固定料金1,900円を劇場で払うわけですから、作品を100パーセント楽しむ!理解する!元を取る!ということに重きを置ける方には、(最低でも)1988年に公開された映画「逆襲のシャア」を見ておくことをオススメします(約120分)。
見ておいた方が良いと言われている作品は(他者を見れば見るほど)他にもたくさん挙げられていることもあるかもしれませんが、それを言い出したらキリがないというか…そりゃあ全部見た方が良いに決まってるって話で。そうではなくって、ここに辿り着いた人に”いかに気軽に楽しんでもらえるか”ということに重きを置くと推奨するのは映画1作ということになります。
筆者は「閃光のハサウェイ」を楽しむ目的に関して言えば、予習は「逆襲のシャア」だけで十分だったと思えました。
見た方が良いっていうけど…「逆襲のシャア」って”シャア”のおはなしなんじゃないの?という声が聞こえてきそうですね。
「逆襲のシャア」は確かにシャア・アズナブルとアムロ・レイ、永遠のライバルの物語ではあるのですが、それと同時に二人の意志を受け継ぐことになるハサウェイ少年の物語でもあります。
「閃光のハサウェイ」というハサウェイが中心となり彼を深堀りする作品が生まれたのは、”「逆襲のシャア」(の出来事)があったから”と逆説的に言うこともできます。
「閃光のハサウェイ」と「逆襲のシャア」は重要な位置づけ(関連性)であるといえるでしょう。
さらに詳しく説明しますと、前述の通り「閃光のハサウェイ」とタイトルにも入っている、最新作の主人公であるハサウェイ・ノア(25歳)。彼は表向きは植物監察官候補という立場であると同時に、裏の顔は反地球連邦組織(はたから見たらテロ活動)のリーダです(裏の顔は最初から明かされてます)。
彼は明確な意思と目的を持ったうえで過激な活動を行っており、それこそが「閃光のハサウェイ」の物語の中心となっているのですが、その結果として彼の父親で地球連邦軍の英雄でもあるブライト・ノア(アムロにビンタした人)を裏切るような形になっています(ブライトはハサウェイの裏の顔を知りませんが…)。
この、父親(家族)が敵となってでも彼を突き動かしている信念やそもそもリーダーとして矢面に立ち反地球連邦活動(テロ行動)を行うに至った背景、彼を形成する大きなもの(存在)が「逆襲のシャア」を見ることによって理解することが出来ます。
作品内の時系列で言うと…「逆襲のシャア」の12年後が「閃光のハサウェイ」の物語であり、すなわち「逆襲のシャア」は「閃光のハサウェイ」から見ると12年前、ハサウェイが13歳時の話です。
宇宙世紀0093年・・・「逆襲のシャア」
↓↑(12年)
宇宙世紀0105年・・・「閃光のハサウェイ」
13歳の彼が経験したこと、抱いた想いが「閃光のハサウェイ」に直結しており、作中でも当時(12年前)の「逆襲のシャア」内での話が出て来たり、印象的なシーンがリンクすることによって思い起こされたりもします。
なにより「閃光のハサウェイ」の作中ではストレートな言葉や映像として表現されていないハサウェイの抱えているものの部分や、(真偽はさておき)その不透明な行動心理と心情が、「逆襲のシャア」を見ていると(見ていないよりも遥かに)理解できる部分が多いです。
「逆襲のシャア」での出来事をもってしてハサウェイが今現在の行動を取っていると考えるのが一番分かりやすく「閃光のハサウェイ」の物語を理解することが出来ます(じゃないと理解しづらいと思います)。
前述の通り「逆襲のシャア」を見ていないからと言って「閃光のハサウェイ」が分からないというほどではありませんが、「逆襲のシャア」を見ていると、知識と心情が分かるのでより一層楽しめる!という感じです。
余談:筆者が劇場に行く前に見た作品
筆者はガンダムの1番初めの作品、1979年のアニメ「機動戦士ガンダム」/43話も見てからの映画鑑賞だったのですが、アニメについては「閃光のハサウェイ」を鑑賞する分にはどうしても見ておかなきゃというほどではないので今回は割愛しました。
これはアニメで描かれている時代が理由であって、アニメは「逆襲のシャア」から見ると14年前、「閃光のハサウェイ」からだと実に26年前が舞台であり、ハサウェイの父ブライトや母ミライ、ガンダムといえば!なアムロたちが中心の物語です(26年前=ハサウェイは生まれてもいません)。
すなわち「機動戦士ガンダム」が「閃光のハサウェイ」の物語に対して直接的な影響を与えたり、映画のための重要な知識を得るというような観点ではありませんでした。
宇宙世紀0079年・・・「機動戦士ガンダム」
↓↑(14年)
宇宙世紀0093年・・・「逆襲のシャア」
↓↑(12年)
宇宙世紀0105年・・・「閃光のハサウェイ」
しかし、伝えておきたいのは、本作がまぎれもなくガンダムのスタート地点であるということ。
ガンダムが持つ世界観だったり、ストーリーの中心にあるもの、そもそも何が描かれているのか、何を描こうとしているのかなどガンダムの壮大な設定部分、基本の”き”を学ぶ上で非常に重要な作品です。(ほぼ)すべてのガンダム作品において共通の設定なので、「閃光のハサウェイ」鑑賞後でもいいので、見るべき重要な作品です。
- 「閃光のハサウェイ」は何部作?続くの?
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3部作(予定)です。今回は「つづき」ます!
映画「閃光のハサウェイ」の原作に当たるのは、ガンダムの生みの親である富野由悠季氏の小説「閃光のハサウェイ」(3部作/上中下巻)です。
筆者は映画鑑賞後に映画の内容にあたる(上)巻を読みましたが、映画は原作小説に忠実な印象を抱きました。終わり(つづき)のタイミングも同じだったため、映画も小説基準で3部作になると思われます。
原作小説は、映画とは些細な違いはあれど、言われなければわからないくらいのレベルの精巧な再現度で、読者が見たいシーン、聞きたいセリフは映画でも完全に押えられている印象でした。
小説(ノベライズ)の良さは、各人の心理的な部分が分かるという、映像とは違ったアプローチが出来る点だと常々思っているのですが、本作はまさにその部分に特化しており、映像を見るだけでは不透明でありながらも我々が気になる、知りたいことが、それぞれの心の声として読み取れる場面が多かったところが良かったです。
あと個人的には、ガンダムはカタカナ文字(人名・地名・単語)が中心かつ聞きなれないため、セリフだけだと聞き取りづらかったり、単語が並ぶと整理が間に合わずぐちゃぐちゃになりがちなのですが、その部分が文章/文字として読み直せる(ゆっくり読める)というのも良かったです。
映画と原作小説どちらが先でも構いませんが両方楽しむことによって「閃光のハサウェイ」の理解がかなり深まると思います。映画を補完したい方には是非オススメします。
2021年8月現在、映画の次回作の制作&公開についての情報はありません(当たり前といえば当たり前ですが)。とはいえ大枠(キャラクター/メカニックデザイン)は既に出来ているわけなので、そう長く待たされるとは思っていないのですが…今作がいいところで続いてしまったので先が気になりますよね。
どうしても物語の先が気になるという方は、原作小説を読むのもアリでしょう。映画の未来(展開)や結末が原作小説と同じだという確証は持てませんが、今作を見た限り大きく外れることはないと思います。
その後…
★映画本編の感想は別で書きました!
★ガンダムスクエア(ガンダムカフェ)に行ってきました!
© 創通・サンライズ/”ノア家のアルバム”より