ここでは「Tales of ARISE(テイルズ オブ アライズ )」のストーリーについての感想を書いていきます。
★ストーリー以外の感想(微ネタバレ)(↓)
★体験版プレイ時の感想(↓)
テーマ
まずはじめに…本作はOPが変わる(挟まる)タイミングを境にした2部構成かつ、それぞれにテーマがある/展開(主軸)が変わっているように感じました。
1部:世界の広さと種族の違い/隔たり
1部で語られるのはレナ人とダナ人、”種族の違いが生み出した格差による様々な問題(課題)や視点”。
それらにおける「理想」や「共存」という聞こえは良くも一筋縄ではいかない世界の広さ、一個人の志向の違いで見え方、考え方が変わるストーリーは王道的な印象が強くも、挙げられたテーマに対して上手く調理されていたと思います。
本作で描かれた種族間の隔たり、歩み寄りにおいて「(結局は)個人」という答えの伝え方として流れに無駄はなく、国(領土)単位で描かれる出来事で違った視点(複数の視点)を感じられ、それぞれに納得できるものでした。
特に”理想郷”的な国(ヴィスキント)がそこまでの訪問先と比較として「良く」見える反面、違った種類の負の要素を抱えている(そこが爆発するエピソード)というのが個人的には分かりやすくて良かった点。
(訪問時の)種族間の関係上、支配者(領主)を排除しただけでどうにかなるわけじゃない(リーダーを変えるだけでは意味がない/個人が介入できる限界)というのもリアルに描かれており、綺麗ごとで済まされないところを済まされないままに描いたのは良かったと思います(ここを無理に丸く収めようとすると大分違和感があったかと)。
ふたつを繋ぐもの
物語における第一印象である、アルフェン自身の秘密(仮面の謎)…痛覚がない、記憶がない)については両方のテーマ(1部・2部)を繋ぐアクセント的な印象で、少しずつ紐解かれていく展開(仮面→片仮面→仮面なし)はワクワクし、先が気になり惹きつけられるものがありました。
ただ、橋渡し的な役目=謎が解けるのが思ったより早かった。という印象。
よくよく聞いてみると(知ろうとすると)このアルフェンの設定が一番中身がなく(笑)、仮面の原理がわからない、300年の必要性(理由)が語られていないなど、”都合よく準備されたモノ”感が否めませんでした(期間を大きく設けることで”分からない”や”多分”がまかり通る)。
炎の剣、仮面取れても使えるんじゃん…。
2部:シオンの荊の秘密/レナ人の真実
1部で迎える山場において「ここでうまくは行かないよね(終わらないよね)」というのは容易に想像できていましたが、そこまでの流れ、2部に繋がる演出は完璧!
テュオハリムの「始まったのだ」というセリフ、絢香の歌う「Hello,Again~昔からある場所~」がかかるタイミングが鳥肌もので、めちゃくちゃテンションが上がりました(EDの「Blue Moon」も好きな1曲)。
と、ここまで読んでお気づきだと思いますが、筆者がクリアして感じたのは”ここが”=1部が(2部に入るまでが)ピークだったな…ということ。
後半(2部)は終盤に向けて気持ちが盛り上がっていくことはなく、個人的にはトーンダウンしてしまった印象でした。
後半あれこれ思ったこと
引っぱりすぎでは?
そもそも”シオンの秘密”に対してフラグを立てすぎというか、意識させすぎ、そして引っぱりすぎ感があって、その匂わせまくった末の真相がインパクト、タイミングを含めて「バシッと決まった!」となることが出来なかったのが残念でした。
前振りの派手さ、待たされた分だけドヤ感が生まれていて、(こちらが期待し過ぎていたところもあるのかもしれませんが)いざ真相が明かされた時に「ここまでは予測出来るけど、ここからもう一ひねりあるんでしょ?……なかった…。」という想像の域を超えない=引っ張られた分だけ肩透かし感がありました。
特に1部においてパーティ内で一致していたはずの目的(国/奴隷の解放)が、2部で”シオンの荊”側に大きく傾くことによって、アルフェンの信念がブレているように感じたり、わがままに聞こえる部分が出てきたりとちょっと置いてきぼりにされてしまった印象を持ちました。
なりよりパーティ内の「運命共同体」的な連帯感が薄くなる原因(要因)となってしまっていて、「(アルフェンとシオン以外のメンバーが)巻き込まれてしまっているじゃん…。」と彼らに憐みの気持ちすら抱いてしまうほど。
情報の多さ、難しくないか?
さらに後半~終盤、”シオンの荊”の秘密が明かされいくと(レナに行く~)、やたらと説明が増えどんどん情報が溢れていきます。
基本的にプレイヤーが初めて聞くことに対するわけの分からなさ(素朴な疑問)は同じ温度感で誰かの横槍が入り、そこに他のメンバーが返答することでこちら(プレイヤー)も何とか理解出来るという感じではありますが、いかんせん文字だけによる情報量が多くて追いつかない、スッとは入ってこない…。
作品単位の架空世界の作り込まれたものであるからこそ、1から説明が入るかつ理解が必要で、結果的に基礎基盤、読解力を試されるような…勉強のような怒涛の詰め込みに一つ躓けばもう終わりっ!レベルのややこしさを感じました。
気持ち的にも終盤に向けて軽い気持ちで楽しめない(知識を詰め込むという)イヤな緊迫感があって、バッサリと切り捨てたり、理解するのをあきらめるという選択肢ももはやアリかも…。と、その方がこういう感想を抱かずに素直にゲームシステムだけを楽しめたのかもしれないと思ってしまったのはここだけの話です(笑)
終盤に向けての盛り上がり
偉そうに言いきってしまうとクライマックスに向けて(制作側が)盛り上げたいところで盛り上がってない感が(演出含め)否めませんでした。
ストーリーを進めるなかで、「あの時のあれか!」「だからこうなのか!」と点が線になる感覚はなく(少なく)、説明をてんこ盛りやっている、ボリュームがある割には《繋がり》における壮大さを感じることはなかったなと。
引き合いにだして悪いのですが、ヒロインの運命(本人の覚悟)、時空を超えた出会いという大きな要素に関して某「FF」を思い出したり(人生の神ゲー)。
それに反して”運命を乗り越えたいと思うプレイヤーも抱く熱い想い”、”世界を変える原理”、”主人公の存在の重要性”が明確にリンクしているストーリとは言い難く、持ち合わせた要素が最大限に絡み合っていない(合わせられていない)印象を持ちました。
一番感じたのは「なぜ種族はその血を残していかなければいけなかったのか?」ということ。
300年という長い期間に関する会話や説明がほぼなく、ここに来るまでに何世代と引き継いできたもの(運命の詳細)をなぜシオンは知らない(知らされていない)のだろうか?という疑問が残りました。
ずっと荊を引き継いでいく必要性やその原理(人工的に無理に進めなければ血縁の継続は無理では?)など、あんまりツッコまない方が良いことが気になったりもしました。
せめてシオンの両親くらいまでは語って欲しかったです。
ラストのモヤモヤが半端ないんだが…?
そしてなにより語りたいのは最終戦から繋がるエンディング。
まず「あれ?これが正解なんだっけ?」という感想を持ったのは筆者だけでしょうか?
ヴォルラーンは結局どうなったのでしょうか?
ハッピーエンドと片付けていいのでしょうか?
ふたりが幸せに暮らしていける確証はあるのでしょうか?
描かれ方として(ヴォルラーンに)”逃げられた”という解釈になる以上はすっきりとは出来ない気持ちがあります。
今作に限らずよく見受けられる表現ではありますが、追い詰められてからの長いやり取りや間。
「急いでいるんじゃないの?」「話してる暇なくない?」とつっこみたくなるし、今作に関して言えば、「最後の場面でそんなことをしている(モタモタしている)場合じゃなかったよね?だからこうなったんじゃん!」と言いたくなってしまいました。
さらにそのやり取りがアルフェンを清廉潔白な状態にするためなのか、殺めないことで何かを伝えたかったのか、信念を曲げなかったという美談臭を強く感じて、正直ちょっと押しつけがましくてむずがゆかったり。
確かに「赦し合うことが強さだ」とは思うところもあれど、それはヴォルラーンに言うことだったのでしょうか?
ヴォルラーンと赦し合う必要があったのでしょうか?
なぜ追い詰めた状態で赦しを与え(説教して)、その結果逃げられた挙句行き詰まって「シオンのいない世界なんて~」って駄々こねるの?とか思いましたもん(笑)全部シオンを助けてからやればよかったことでしょ…。って。
そもそもヴォルラーンに関して(バックボーンなど)大した描き込みもなく、ストーリー進行中に彼自身が何かに苦悩していたり、プレイヤーが同情するようなことなど、生まれ変わらせてあげたいと思う要素はなかったはずです。
すなわちヴォルラーンが共存できない、分かり合えない、更生しそうもないのは始めから分かっていたことであって、経緯をすっ飛ばして最後の最後だけアルフェンの声が届くなんてそもそも誰も思ってもいなかったことでしょう。
正直、終わらせてあげることが綺麗な納得のいく終わり方だったように思いますし、だからこそ最後の状況下でアルフェンが取った行動がその後に繋がる展開を含め解せなかったのが残念でした(レナス=アルマ取り返して終わりでよかったじゃん…)。
なによりこの場面に限らず、綺麗ごと感が否めない「自分じゃない(主要メンバーじゃない)誰かが始末してくれればいい(=主要メンバーは手を下さないが上手いこと敵がいなくなる)」という片付け方(リンウェルVSアウメドラのような)は、今作で提示しているテーマに対して、決断や犠牲を綺麗に見せるのは違うというか…個人的にはそこら辺の扱いがいまいちに感じました。
極めつけは追い詰められて絶望的な状況に焦りもせず、結局行き当たりばったりな都合の良いひらめきで片付けた元気玉ラスト。これはさすがにちょっとどうなんだ…というのが個人的な感想です。ここまで一貫してレナス=アルマを追っていたのだからその処置はもっとはっきりすべきだったのではないでしょうか?
レナス=アルマと精霊についての共通性(関係性)において、画が豊かになる方をラストに選んだのでしょうが、そこを生み出すために作られた流れに筆者は結果的にモヤっとしてしまいました。
さいごに
批判(愚痴)的な意見が長くなってしまうのは(感情で書くので)常で今回もそうなってしまいましたが(自覚はある)、ラストのことだけですべてを無(低評価)にするというのは違っていて、全体的には結構満足していたりもします(ストーリー以外の感想)。
ストーリー面は特に色々な意見があると思いますし、気になっている人には手に取って遊んでいただきたい&おすすめはしますね(感想語らいたい)!この記事では説得力ないですけどね…(笑)
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