【感想&レビュー】「DESIRE remaster ver.(デザイア リマスターバージョン)」~背徳の螺旋を知った時、この世界とあなたは繋がる~(※ネタバレ少しあり)

【感想&レビュー】「DESIRE remaster ver.(デザイア リマスターバージョン)」~背徳の螺旋を知った時、この世界とあなたは繋がる~(※ネタバレ少しあり)

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各編

アルバート編

主人公のひとり、新聞記者のアルバート・マクドガル(通称:アル)。彼はアドベンチャーゲームによくいる系のチャラッチャラなお調子者主人公です。

今作女性キャラが10人近く登場しその半数(以上)から出会って速攻で言い寄られたり、基本みんな好意だらけというお祭り状態なモテモテの彼ですが、きちんとイカした顔(表情)が存在しているためゲーム特有のありえない展開ではあるものの「なんでこいつが…」とまでは思わなくて済みます(笑)

(服の刺繍はさておき)主人公としての責務は全うしてます。

とはいえゲーム全体のボリュームに対して相手が多いので(必然的に)脈略とか一切なくお色気ゾーンに入ることもしばしば。

これはゲームの大元を辿れば[i]アダルトゲーム納得はするものの、アドベンチャーゲームとして前情報なしにプレイしようものなら、びっくり&不快に思われる展開や表現は多いかもしれません(クリスさんなんかは完全に”そのため”に存在していて食い気が凄すぎたり…)。

名残り

仕方がないことですが、家庭用ゲーム機(年齢制限)のために変えた設定や(苦し紛れの)表現が、「工夫してある」、「頑張っている」と思えはするものの、直接的な描写や表現ではない分、違った意味で”色”が主張してきていて、滑稽に映ります。特にオトナが読む分には逆にこっぱずかしかったり(笑)

これについては今作に限らず家庭用ゲーム機に移植されたアドベンチャーゲームをやる人(やったことがある人)ならわかると思うのですが、「今作も例に漏れず他のと同じ感覚を味わいますよ」というところ。

原始的催眠術て…(笑)

とはいえ文句やマイナスポイントではなく、ただの情報連携です。この点が鼻につくようならそもそも元PCゲームの移植版(家庭用ゲーム機に移植された作品)はプレイすべきではないと個人的には思ってます。最初からPCゲームの方をやればいいだけの話なので…。

マコト編

アルバート編に続いて登場するのはアルバートの恋人でデザイアの技術主任マコト・イズミ(マコト)。

施設関係者(内部)からの視点でのパートなのですが、それ以上に彼女のキャラが悪い意味で目立ってしまっています。

まずアル編で登場するマコトはアル視点だと理由も分からないままアルを避け続け、会話すら成り立たず(わざと成り立たせないようにしていて)モヤモヤさせられる存在です。この部分に関してはマコト編として同じ時間を別の視点(マコトの視点)で見ることによって、「なぜアルに対してマコトはああいう行動を取っていたのか?」という理由が分かり、(一応は)理解は示せます。

こういったアル編で引っかかった部分がマコト編で補完される/紐解かれるという場面では、マルチサイトシステムの醍醐味、マコト編があることの必要性は感じられました。

しかしそれ以外(補完以外)の部分においては極めて不愉快な物語に仕上がっています。もはや彼女が作中の不愉快要素をすべて引き受けたと思えば少しは救われるレベルです。

マコト(編)の評価を下げてしまっているのは彼女の壊滅的な人間性(設定)とそのストーリーにおける展開(使われ方)にあります。

残念ポイント①:口癖

筆者が個人的にどうしても好きになれなかったのが、彼女のセリフでの「フフ(笑いの意)」の多用。

いつでもどこでもレベルで会話に「フフ」が登場するんです。

ただ単純にこの使いまわしの多さがうっとおしいのと、なによりタチが悪いのが、どんな事態(ヤバい事態)だろうがお構いなしにこのノリで来ること。

施設の一大事に直面しているさなかだろうが、内部の秘密がバレちゃおうが「フフ」。

この「フフ」が文字や言葉で伝わる温度差がないので読み進めている分には非常に不快で、開き直ってるにしては頻度が高すぎるし、筆者にはマコトがとにかく危機感がなく不謹慎な人物に映りました。

残念ポイント②:逃げ展開

もう1点は仕方がない部分でもあるのですが、ストーリー進行上辻褄を合わせるために「もう、(どうしていいのか)わからない。」(的な行動)で重要な出来事を理由もなく無理やりに飲み込ませようとする逃げ展開。

基本的に人のせいです。

これによってなんでもかんでも(悪い方に)都合よく流されるマコトに(仕方がないとわかっていても)イライラさせられる展開になっていたように思います。

残念ポイント③:主人公力の欠如

最後にどれよりもなによりも同調できなかったのが、上の2つを含めた彼女の置かれている立場における意識の低さ

彼女の視点で物語を進めていくと、「施設を何とかしよう」「真相に近づこう」「アルを助けよう」というような、主人公的な責任感や展開が一切ありません。信念みたいなものもなく、ふらふら優柔不断な態度ばかりです。

仮にもプレイヤーが主人公視点として追っている以上は少しでも感情移入できたり、優位に立てるような権威ある行動を取って欲しかったな…と。

特に終盤には気の迷いやら裏切りに近い行動を取り、プレイヤーが自分を置き換えることが極めて難しい存在にまで落ち果てます。彼女だけが血迷い独走してしまっていて、こちらは置いてけぼり。寄り添うどころか近寄ることすらできません。

これはストーリー的に見ても「彼女は技術主任として人の上に立つ人間ではないのでは?」と説得力すら薄れている気もしたり…。文句ばっかり言っても面白くないのですが、マコトが最後に望みを託される、信頼される要素がないと筆者は思ってしまいました(まぁ能力だけ買われてたってことで理解できますが)。

悪口ばかり書いてしまいましたが、ここまでくると逆に彼女に興味が沸いてきませんか?(笑)

次ページ:まだつづきます

References
i アダルトゲーム
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