リメイク版をプレイし考察して行く中で、自分の中で腑に落ちた、解決出来たことが一つあります。
それはエアリスとザックスの関係性。
そしてそこから見える、「エアリスは結局のところクラウドとザックスどっちが好きなの?」ということ。今回はこれをまとめていきます。
ザックスとは?
エアリスの「初恋の人」であり、正真正銘ソルジャークラスファーストのエリート。
陽キャでコミュ力抜群、高身長のハイスペックイケメンです。
それが分かるのは「CCFF(クライシスコアファイナルファンタジー)」・・・以下「CC」。
原作でのザックス
原作「FF7」でのザックスはストーリーにおいて、(クラウドの逃亡を手助けする人物として)辻褄合わせ的に開発後期に生まれたキャラクターであり、人物の深堀りも(ほとんど)されておらず、申し訳程度にエアリスの「初恋の人」という設定を取って付けられた感が満載です。
ストーリーにおけるキーマンでありながらにして、彼の人となりを知る描写は皆無に等しく、エアリスに「初恋の人」と言われたところで、2人のエピソードどころか会話一つ描かれていません。
圧倒的に描写が不足しています。
ザックスは女好き
原作のインターナショナル版(以降)ではザックスとクラウドの逃亡中の映像、ミッドガルに向かうトラックの荷台でザックスがクラウドに話しかけるシーンなどが追加されています。

ここでザックスは「ミッドガルについたらあちこちに(女の子の)あてがある、世話になる」的な、エアリスの名前もなければ、エアリスどころじゃない話をしておりまして、「ザックス、チャラっ!!! エアリス騙されなくてよかったぁ…。」と思ったものです(笑)
私の中でザックスは「ただの女好き」として長く印象を残すこととなります。
(いやそれを差し置いても良いヤツであることに変わりはないんですがね…。)
原作におけるエアリスとザックスの関係
原作をプレイした中においては、2人は(神羅の人間と古代種として)何かしらの接点があって、エアリスが一方的にザックスのことを「ちょっと、いいなって思ってた」、ザックスの名前を聞かれても「もう、いいの」となる位のほんのり淡い恋だったように感じました。

ザックスも数いる女の子の1人としてエアリスを見ていたのかな?と追加映像ですらエアリスの名前が出てこないので、2人はそれくらいの浅い関係だったのだと感じました。
初恋の人=ザックス?
そもそもを辿ると、エアリスの「初恋の人」=ザックスっていう説明って、アルティマニアなどの資料には書いてはありますが、ゲーム上では(ほぼ)無いと思いませんか?
”あの人”としか語られず、ザックスの故郷、ゴンガガ訪問時にエアリスを同行させていれば、「そうだったのか…。」と思うセリフはありますが、エアリスがいなければけただ”ザックスという行方不明のソルジャーの名前”が一言出てくるだけです(ティファがいると違った意味で混乱する)。
実際のところ本編においてザックス自体の登場シーンが遅すぎるのと、その時点では物語がパニック状態(クラウドの謎に突入している)のため、プレイヤーはザックスどころじゃないことになっていますし、なによりエアリスの初恋の人がザックスだからなんなんだ?程度にしか物語が描かれていません(ザックスごめんね)。
クラウドに惹かれていく?エアリス
前述のとおりエアリスとザックスの関係性について、原作ではいつどこでなにがあったのか全く描写が無いため、良くも悪くもエアリスが語ることが全てです。エアリスの言葉だけを頼りに脳内補完するしかありません。
クラウドにザックスを重ねて、クラウドが気になるようになり、好きになっていくというのも、「それくらいにはザックスのこと好きだったんだなぁ~。」とは思うけど、それだけ。ザックスに対する罪悪感もなければ、悲しみみたいなものも、エアリスに対しておいおい…。と思う事も何もありませんでしたね。というか、原作の描写でそんなことを思う人がいるとは思えませんが。
どれだけザックスの存在を匂わせようとも、なんの違和感もなく、エアリスは(今は)クラウドが好き。とただそれだけにしか感じませんでした。
余談:クラウドのことが好きだったって描写も少ない
この記事を書いていて思ったんですが、「エアリスはクラウドのことを好き」っていう描写もゲーム内では不足しているんですよね。
ティファとのやりとり的に、「そうなんだな?」と思っていただけで。
実際「エアリスはクラウドのことを好き。」っていうのは間違いないんですが、それはアルティマニアや解体真書によって補完された部分(本だけの情報)な気がしています。
初見の自分の記憶を掘り起こしたい…。
個人的な意見なんですが、ゲーム内の分岐ルート(好感度システム)に関しては、物語における正規と考えないようにしています。
それはプレイヤー目線ではどれか一つのルート(主に好きなキャラ)しか見ないので、見たルート、見なかったルート、で物語の見え方が変わるのは違うな(変わらないように描かれている)と思っているからです。
原作でいえば、ゴールドソーサーのイベントやゴンガガ訪問時にエアリスを選択した場合の反応を含めれば、エアリスの心情は(若干)深く読み解けるんでしょうが、上記の理由で省いているため、疑問符だらけの考察になってしまっています。
「CC」でのザックス
「FF7」の前日譚、ザックスが主人公の「CC」が生まれたことによりザックスを取り巻く状況が一変します。
「CC」ではザックスの人となり、エアリスとの関係、クラウドとの関係、「FF7」までの経緯、「FF7」ファンが知りたかったことの全て(それ以上)が描かれています。
そしてこの深堀りによりザックスに対するイメージが激変することとなります。
「CC」におけるエアリスとザックスの関係
何よりも印象的だったのは、エアリスとザックスの関係について(の描写)。
それは原作に対して違和感しか抱かないほどの改変っぷりだったのです。
詳細に描かれた2人の思い出
「CC」本編を正規とすると、ザックスとエアリスの出会いは「FF7」本編の7年前、エアリスが15歳の時です。そしてそこからザックスがニブルヘイムで行方不明になるまでの2年間2人は関係を築いていきます。ザックス、エアリス双方のコミュ力の高さによって、初対面から打ち解ける2人。物語を追うごとにその距離は縮まり、それもごく自然な縮まり方です。
「CC」をプレイすると、エアリスがいかにザックスに影響を受けたかが分かる原作を彷彿とさせる描写も多いです。

「報酬はデート1回」の唐突過ぎる提案もザックス発信であることや、花を売り始めるようになるのもザックスの言葉がきっかけです。
ザックスはエアリスがいる教会を頻繁に訪れ、一緒に花売りワゴンを作ったり、みどり公園に花を売りに行ったりします。お互いに電話もし合います。リボンをプレゼントしちゃったりなんかもします。
リボンをプレゼントする時の「出会いの記念」や、「もっと一緒にいたい」=「気になる」という表現もザックスが初対面のエアリスに使ったものです。これらの言葉はリメイク版ではエアリスがクラウドに使ってますね。
印象的過ぎるシーン
そして極めつけは物語の中盤、ザックスがソルジャーの仲間を失い傷心している場面でエアリスがザックスを後ろから抱きしめます。しかもここまでの距離の縮まり方、親密度を見てるので、それが普通というか、ごく自然な行動、なんの違和感もない描写としてこちらも受け入れられます。
「(すごく楽しい)ザックスと一緒だから」と言っちゃうエアリスとか、任務前にツォンにわざわざエアリスのことを頼むザックスとか。
もう終盤、恋人同士じゃん!?ってなもんです。
じゃなかったら何なの?ってくらいの親密さです。
直接的な言葉を交わさないだけで、2人は紛れもなく相思相愛として映し出されています。
ミッドガルに向かう目的もエアリス
原作のインターナショナル版では逃亡の最中のトラックの荷台の言葉で、あてがあるからミッドガルを目指してるのね。としか思っていなかった場面。

「CC」では、ニブルヘイム任務の直前にエアリスから受け取った「もっと一緒にいたいです。」というメモを見つけ、危険を顧みずミッドガルに帰ることにするザックスの決意が描かれており、ミッドガルに帰るという事の重大さやザックスのエアリスへの想いが感じられるシーンに変貌を遂げています。
原作にあったザックスの女好きという設定は?
タークスのシスネとの初対面(「CC」の序盤)こそ、「女好きのお調子者」といった言動でしたが、それ以外にチャラさが出る場面など一切なく、シスネにも以後、女の子としては見向きもしません。
そしてエアリスと出会ってからは完全にエアリスにゾッコンです。
エアリスの「女好きだった」という原作でのザックスを揶揄するようなイメージに値するシーンは一度もありません。あちこちにあての一つもない位、エアリスだけって感じです。
エアリスもザックスにゾッコン
15歳で出会い、17歳の時に失踪した1つ年上のザックスに、およそ4年間(21歳まで)もの間、実に89通もの返事の来ない手紙を書き続けたエアリス。出す宛がなくなった1年後、ザックスは目指したミッドガルの直前でエアリスと再会を果たすことなく命を落としてしまいます。この時エアリスがザックスがいなくなってしまったことを察した描写もあります。
2人が最後に交わした言葉は5年前の「会いに行く」「待ってる」。
・そこから返事の来ない手紙を(4年間計89通も)書き続け、ツォンに渡し続けたエアリス。
・「もっと一緒にいたいです。」というエアリスのささやかな願いを叶えるために、ミッドガルを目指したザックス。
怒涛の終盤、カンセルの早く帰ってこいメール(ワゴンはザックスに直してもらう)や、プレートの上に連れていく、次会う時はピンクの服、などふたりの叶わなかった約束が出てきて、お互いの想いの深さをバシバシ刺激してくる展開や表現に涙腺が決壊を起こしました。「CC」マジで神ゲーですぞ。
原作と「CC」のエアリス違い過ぎない?問題
原作と「CC」どちらからやったとしても感じる違和感。
それはエアリスのザックスに対する想いの深さの描写のズレではないでしょうか?
セリフ一つとはいえ、ザックスへの気持ちの温度差が半端じゃないんです。

「CC」をプレイした後だと、(少なくとも)2年間恋人同士のように過ごし、5年間帰りを待ち続け、89通も手紙を書いた相手は、原作のセリフを上げると、「ちょっと、いいなと思ってた」どころじゃなくない!?と思ってしまうんです。
自分から抱きしめる位良い雰囲気になってたザックスは、「もう、いいの」で、不愛想な会話の成り立たないクラウドのことが好きになってしまったってなんなのさ・・・。と凄いショックでした。私の涙を返せ!と(笑)
悲恋ではあるものの「CC」で典型的なボーイミーツガールの綺麗な物語を見た後に、別の物語に登場した彼女が、そっちで出会った男の方が好きって…ダメじゃないけど…何とも言えない気持ちになったのはきっと私だけではないはず…。
5年は十分待ったと思うし、次の恋どうぞ!とも思えはしますけど、それにしても「CC」でザックスとあれだけの関係性でありながらにしては「FF7」の公園でのセリフに納得がいかないな…と。「CC」の物語、ザックスという人間、エアリスとザックスの関係が素敵過ぎたからこそそう思ってしまいました。
エアリスが嫌な女に見えてしまう
何より原作と「CC」でのエアリスとザックスの関係性の描き方のギャップにより、どっちからプレイしたとしても両方やると原作のエアリスが切り替えの早い、嫌な女に映っちゃうんです。
ザックスがこの世からいなくなってしまったと分かってから短期間で次の恋に目覚めてる(ようになってしまっている)設定や描写は、「脳内お花畑過ぎない?」、「ザックスのことももうちょっと考えてあげて!」、「ザックスへの気持ちはその程度だったの!?」となってしまうこと間違いなし。
ザックスのことを好きだったからこそクラウドに彼の姿を重ねて惹かれていくっていうのも言葉としては理解できるんですが、別にザックスとクラウドの(仕草が)似てるところって原作のストーリー内では全然伝わってこないんですよね。
ソルジャーってことくらいじゃね?ソルジャーなら誰でもいいんか?(笑)と原作に対して深堀りが足りないなと、「CC」に対して不整合が過ぎるなとモヤモヤしました。 どっちかに揃えないと違和感が凄すぎてついていけない。
原作と「CC」は別物と思うことにした
このモヤモヤは「CC」の物語が素晴らしいなと思ったからこそであり、「CC」が「FF7」に繋がる正規であると思いたかったからです。
反面、あまりの設定の違い(温度差)に同じ世界の話とは到底思えず、「CC」はあくまで派生作品(後追い)のため、これ単体で物語を楽しまないといけないな、原作とは別世界の物語と考えようと、悔しいけどそれで自己解決することにしました。
いったん飲み込んだ関係性の違い
ここまで書いてきて、(当時)私の中では以下でいったん整理しました。
原作:エアリスの片思い(それもかなり淡い)
CC:恋人レベル
リメイク版はどっちのエアリス(設定)なの?
話はそこから飛んで、いざリメイク版。
考察していく最中に確証を持った[別世界線の存在]と、[派生作品の取込み]について考えた時に一番に思いついたは、リメイク版のエアリスとザックスの関係性は、原作と「CC」どっちの設定が生かされているのか?ということでした。
何よりリメイク版の上記2つの設定を生かすのであれば「CC」を取り込んでいても違和感がないという期待と願望ありきで。
◆別世界線設定や派生作品の取込みについては別記事で紹介しています。
まず私個人の見解から言いましょう。
リメイク版では、「CC」の出来事が引き継がれている!と感じました。
[別世界線設定]ありきの話ですが、ここまでまとめてきたことを整理すると以下になります。
①原作の世界線
ザックスへはエアリスの片思い(それくらいの接点しかなかった/描かれていないのでそう解釈するしかない)⇒旅をしていく中で、ザックスのことは吹っ切れて、クラウドの事が好きになっていく(史実)。
②リメイク版の世界線
「CC」でのザックスとの関係性(恋人同士レベル)を通過してきた世界線。
それをふまえて物語が進行していく(はず)。
◆世界線について派生作品を整理してみました(一つの案)
原作においてミッドガル脱出時点まではエアリスがクラウドに対して好意を持っている描写はそんなに多くなかったように感じていて、予想の範疇を超えないのですが、今作ではザックスのことをまだ引きずっていそうな、原作とは印象が変わった場面がありました。
みどり公園にて
原作でもリメイク版でも印象的な、「みどり公園」の遊具の上でのエアリスとクラウドのやり取りの中にヒントがありました。
原作にはなかった台詞、「昔 ここでお花を売ったこと あるんだ」というのは「CC」でザックスと花売りワゴンで来たときの2人の最後の思い出のことでしょう。
そして原作と違った応答があります。
クラウドに知っているかもしれないと「初恋の人」の名前を聞かれて、原作では「もう、いいの」で終わらせた場面で。
リメイク版ではハッキリと「ザックス」と名前を発するエアリス。
(クラウド(プレイヤー)には聞こえていないような描写になってはいますが…)
「ちょっといいなって思ってた」というセリフは無くなっています(「CC」での関係性を踏まえれば、ちょっといいなどころではないからでしょう)。
クラウドの「魔晄を浴びた者の瞳 ソルジャーの証だ」という言葉に「うん 知ってる」としんみり噛みしめちゃうのも、この言葉が「CC」でザックスがエアリスに言った言葉のまんまだから…。でしょうね。
そして思い出に耽った後の「ごめんね こんな話」という自嘲。
最後の「前 見なくちゃね」って噛みしめるような切なすぎる言葉。
これ、完全にザックスのことだよなぁ…(泣)。

原作ではこの公園での会話は全然違うイメージを持っていました。
自分の恋愛遍歴を匂わせクラウドに嫉妬させようとしているな!エアリスこのこのぉ~!(ニヤニヤ)と思っていました。
しかしリメイク版では、吹っ切らなきゃいけないと分かっているけど、ザックスのことを何か知らないか話を聞きたい。というエアリスの複雑な気持ちが会話の中で表現されていて、エアリスはザックスのことをまだ引きずっていると確信しました。
思いに対する重みが描かれていたし、同時にクラウドにザックスを重ねているという部分も感じ取れました。
◆そもそもエアリスはザックスの最期を分かっているのでしょうか?
探し回った”アレ”
「CC」で印象的だったのは、ザックスがエアリスのために作った花売りワゴン。
このワゴンがリメイク版でどこかにあれば「CC」が網羅されている、完璧だな!(もちろん壊れた状態で)と教会やエアリスの家を必死に探索したのですが、答えはアルティマニアに載っていました。
その内容を要約すると、お話の展開の都合上、花売りワゴンを登場させなかった(させられなかった)ということ。ワゴンを登場させる予定があったということ、そういうことですね。まぁ反則的な答え合わせです(笑)
エアリスは今作アピールが控えめ?
巷で、リメイク版のエアリスはクラウドへのアピールが控えめだよね?っていうのをみかけたんですが、今回の考察を持って、まだザックスのことを引きずっているから。という風にも考えられないかな?と思いました 。

私自身、リメイク版のエアリスが、グイグイ来てるとも、控えめとも思わなかった「ドンカン!」なんですが(笑)、 エアリスの心にザックスが(ザックスとの思い出が)残っているからなのでは?と思える描写があったことが「CC」推しの私としてはとても嬉しかったです。
「ドンカン!」の一連の流れがないのもまたそういうことなのかなぁ…なんて結びつけたくなっちゃう。
まとめ
エアリスとザックスの関係、エアリスの心を原作とリメイク版をくらべながら考察してみました。
原作では、(最終的に)クラウドのことが好きだったエアリスですが、リメイク版では現時点ではザックスのことをまだ忘れられていないのかな?と感じました(個人の意見です)。
それは実際には原作でも同じ心情だったのかもしれませんが、今作、描写一つ入るだけで全然印象が変わりました。リアルな映像力(表情、声など)もあると思います。
今後エアリスがクラウドに対して好意を持っていったとしても、その過程の部分(クラウドにザックスを重ねていく)が上手く描かれていれば辻褄が合うし、描写に期待したいポイントですね。
参考にした資料
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