【感想&レビュー】「ムーンライター 店主と勇者の冒険」~定番ローグライク×リアル店長スタイル成り上がりゲーム~(ネタバレなし)

【感想&レビュー】「ムーンライター 店主と勇者の冒険」~定番ローグライク×リアル店長スタイル成り上がりゲーム~(ネタバレなし)

目次

ゲームシステム

②:ショップ経営

次は本作における唯一の金銭の取得方法である「アイテムの売却」=【ショップ経営】について紹介していきます。

本作の魅力の一つともいえる【ショップ経営】は、ダンジョンで手に入れた《アイテム》を自分のお店(雑貨屋)に陳列し売る/レジやお客の対応するという「ごっこ感」にあります。

ボタン一つで売る/買い取ってもらうという直接的な換金ではないところ、そして店主であるウィル=プレイヤーが《アイテム》それぞれに「(適切な)値段をつける」という他にはない特徴があります。

《アイテム》は値段の幅が大きいため、初めて売り出す商品は手探り状態の値付けから始まるわけですが、お客さんの反応は価格によって4種類あり、①高すぎると買ってもらえず、②強気設定だと需要が低下します(後述)。

③適正価格だと完璧な手応えで売れて、④安すぎると目を光らせて買いさらわれるため売れたはいいものの損した気分にもなります。

この商品ごとの売値は「商人手帳」に記録されていき、品出しの回数を重ねるごとに理想的な価格を設定して(探って)いくことが可能(必要)です。

需要(時価)

適正価格を継続していると商品の人気/需要が高まり、需要が高い状態だと強気設定(ちょっと高い)でも売れていきます。逆に人気/需要が普通(以下)で強気設定で売り出した場合や連続して同じアイテムを売り続けると商品の人気/需要が低下し、通常価格でも購入を渋られます。

これらの要素によって、お店に並べるタイミングや量、値段設定の考慮に常に気を配ることが必要で飽きさせない細かな作り込みを感じました。

各ダンジョンごとに獲得できる《アイテム》は異なっており、定期的に店に並べる商品は変えること(変わること)で価格を探る作業も生まれます。

価格設定を行うこと自体は斬新ではあるものの、売れたら新しいものを商品棚に出す(置く)という繰り返しの「作業感」は強めです。逆にいうと「作業感」を好む人は存分に楽しめるといえます(筆者は後者です)。

終盤は売上額がどんどん上がっていきます。

③:金銭の使い道

ダンジョンで入手した《アイテム》をお店で売却することで得た金銭(ゴールド)の使い道は大きく3つあります。

★装備(武器/防具)の作成

ダンジョン探索のお供である、武器は5種類(片手剣、大剣、槍、ナックル、弓)×2分岐×4段階進化、防具は3種類(兜、鎧、靴)×4段階進化します。

武器は至ってシンプルに想像しうる特徴(大剣はぶんまわせるけど行動が遅い、槍はリーチが長いけど一直線にしか攻撃できないなど)を網羅しており、各能力数値はすべて統一されています。すなわちダンジョンやプレイヤーの好みで使い分けが可能(装備状態でダンジョンに落ち込めるのは2種類)です。

前述のとおり主人公ウィルの戦闘能力を強化できるのは武器と防具の装備/強化(グレードアップ)のみのためダンジョン探索を進めていくうえでここが最も重要な要素になります。

強化には(膨大な)金銭が必要ですが、それと同時に指定された素材も一定数必要となっており、この素材はダンジョンで手に入れるか、(町に招致した)「商家」から購入することになります。「商家」から購入となればここにも金銭が必要です。

★お店の規模拡大/設備増設

お店の規模の拡大とそれに伴う家具のアップグレードはダンジョン攻略とともにロックが解放されていき、金銭によって購入が可能です。

お店が広くなればなるほど売り出せる/並べられる品数が増やせるのはもちろんのこと、設置できる装飾品(訪問客アップ、お客の移動速度アップ、営業時間延長、チップ増加、泥棒訪問率ダウンなど)の数も増やすことが出来ます。

家具のグレードアップはそれぞれ段階的(3段階)に上限が増えていきます。レジはお客さんから受け取るチップの額、ベットはウィルの初期HP、収納庫はアイテムの保管容量です。

【残念ポイント】
筆者が本作で唯一不満に感じたのは【ショップ経営】において、店が大きくなると陳列棚から商品を盗む「泥棒」が発生してしまうこと。

泥棒が訪問すると入店の反応で気づくことは出来るのですが、彼らはレジ処理やお客への対応、品出しのタイミングを狙い絶妙に盗みを働いてきます。現行犯逮捕が必須のため盗った瞬間にアイコンが表示され追いかけることになるのですが、これが店の手前側(入口側)にいないと追い付かないレベルの速さで結局逃げられることが多々…。

盗られたらアイテムが無くなる=収入が減るというくやしさが一番ですが、なにより泥棒の犯行を避けるための店内装飾を行ったとて1度店を開けると2回は被害に遭うという…あまりにイライラモヤモヤ度数が高く、アクセント要素にしても存在の必要性を感じなかったことから不満点となってしまいました。

同様の理由で店を開けるたびに入ってくる「鳥」…お客が気を取られて買い物ができない/営業時間の妨害も個人的には残念(不必要)な要素に感じました。

★町の発展貢献(新店への出資)

お金の使い道の3つ目はかつての繁栄を失ってしまった町「リノカ」の発展への貢献として、新店(人物)への出資、招致を行うこと。

出資できる先は以下の5つです。

・「鍛冶屋」…装備の作成が可能

・「魔女」…ポーション作成と装備強化が可能

・「商屋」…アイテム購入が可能(いつでも買えるが割高)

・「銀行」…資産運用が可能

・「アンティークショップ」…店内装飾品の購入が可能

「鍛冶屋」と「魔女」はダンジョン探索において必須の要因(装備と回復薬)を伴うため第一に出資すべき先として最序盤から出資が可能かつ出資額も低めです。

他3つは段階的に開放されていきますがそれなりに大きな金額が必要となります。

上流ダンジョンに足を踏み入れるごとに獲得できる《アイテム》とその売却額が跳ね上がり、手に入る金額は大きくなっていきますが、やれること、かかる金額も比例して多くなるので裕福な状態になるのは程遠いです。

ただその【ダンジョン探索】【ショップ経営】の繰り返しによって、お金の使い道の順位付け/店の大型化/町の発展、これらをプレイヤー(主導)で行い、目に見えて繁栄していく流れに優越感を得ることが出来ます。

まとめ

ゲーム性にて本作を紹介しましたが全体的な感想/評価としては「インディーゲームらしく良いとこどりのコンパクトにまとまった1作で、BGMも含め完成度の高い作品」でした(筆者はすでに2周しました)。

やりこみ要素は控えめながらも本作がインディーゲームであることと定価(約2,000円)を考えればこれ以上望むものはないレベルのクオリティです。むしろもっと値段が上がってもいいからやりこみ要素を増やして欲しいと思いましたが、それに応える追加コンテンツ(DLC)の「次元の狭間」がありますので、本編を楽しんだらこちらも是非!

★追加コンテンツ(DLC)「次元の狭間」の感想は別途書きました(↓)

クリアまでの1周は大体12時間ほど、クリア後の+要素もあり周回も楽しめます。

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