全体的な感想
良い:正当な続編感
本作はペルソナシリーズの過去のナンバリングタイトルのスピンオフ作品(音ゲー系やQなど)のような、なんでもありの全員集合お祭り騒ぎ!的なゲームではなく、歴とした「続編」という印象を受けました。
単純に「ペルソナ5」での出来事を経て、その後のキャラクターたちの近況を知れる点はもちろんのこと、ストーリーは時間軸を辿り今作でさらにそれぞれの成長(覚醒)など、前作の”続き”として「ペルソナ5」の世界や物語が積み重ねられていきます。
お祭り騒ぎなスピンオフもいいのですが、正式なものとして再び新しいものが得られる、遊べるというのは作品が好きであればあるほど非常に喜びを感じられるポイントでしょう。
他にも前作からすでに「現代」を取り入れた世界観ですが、新たに「AI(AIとの共存)」に焦点を当てた、さらなる身近で明確な近未来的ストーリーに仕上がっています。
展開は常に悪を成敗する水戸黄門的ベタさでありながらも、取り上げるテーマによって生まれたリアリティは非常に興味深いものがありました(可能性も含めた”未来”だと思います)。
さらに決められたメンバー(怪盗団)や、その成長(覚醒)が描き終わっている以上、続編(スピンオフ)を作るに際して新キャラクターの登場、戦闘システムの変更など変化による楽しさの生み出し方はもはや必然であり、それらを理解し取り入れたうえでの今作のストーリー、システム設計、バランスなど全体的な評価は高いです。
良い:ボリューム
スピンオフ的な作品とはいえ新作ゲーム、30時間~は十分なボリュームでした。
さすがに「ペルソナ5」と比べるとあっさり、サクッとになってしまいますが、そもそも「ペルソナ5」の方が(ボリューム面で)異次元レベルなので…(コスパが良いとも言えますが)。もちろん個人差があるので時間だけでの評価は測れませんが、筆者はストーリーにおいて不足も蛇足も感じませんでしたし、終わりの駆け足感や尻切れ感もありません。
今作のテーマともいえる「AIとの共存」に対して今作なりの答えがあり綺麗にまとまっていた印象です。
良い:おしゃれでスタイリッシュなあれこれ
各種メニュー画面、音楽など、ペルソナシリーズの個性、ペルソナらしさはもちろん健在です。
配色によってはややビビットカラーが目にくるところもありますが(双葉のメニュー画面など)、いちいち凝っていておしゃれだなぁ~と思いました(語彙力不足)。
良い:親切設計
戦闘システムは「ペルソナ5」のコマンド式からリアルタイムアクションに変わりました。
この変更に際しての部分はチュートリアルや解説(ヘルプ機能)、戦闘中のナビもしっかりとあり、戦闘迷子になることはありません。
同じゲームシステムで続編を楽しみたかったという人もいるとは思いますが、個人的には新たな試みとしてここは評価できるポイントだと思うと同時に、そこに対するサポートとしては十分であると感じました。
とくに難易度は3段階(4段階)に分かれていて、最弱のイージーまで落とすとリアルタイムアクションのある種特徴でもあるゴリ押し連打で進行も可能です。
筆者のようにそれが良い(手ごたえ不要、リズム重視)というタイプにはありがたい難易度設定ですし、(ストーリーを楽しみたいのに)ゲームシステムが受け入れられない!(説明されようが)リアルタイムアクション苦手!という人にも楽しめるようになっています。
逆に歯ごたえが欲しいという人にも考慮された豊富な難易度バランスといえるでしょう。
良い:ペルソナの活用
戦闘においてはペルソナの【属性要素】が大いに活用されているため、必然的に上位のペルソナを生み出したり(合体)、技習得、継承のためにレベル上げをする必要性が出てきます(それを意識するクエストも多数あります)。これはペルソナの特徴が存分に加味されていると感じたポイントです。
同じくキャラクターそれぞれの持つ属性強弱点も影響度合いが大きく、相性次第でバトルの爽快感が圧倒的にアップします(逆も然り)。プレイヤーの好みや使いやすさはさておき、ダンジョン毎に属性が変わるなどパーティーメンバーの考慮、必然的な入れ替えによって怪盗団の皆で戦っている感が増し増しです。
さらにパーティメンバーかつプレイアブルキャラも怪盗団全員を選べるため、続編という思い入れがある分、主人公以外の(好きな)キャラクターを操作できるのも魅力的なポイントだと言えます。
筆者は今作に限らず基本的に冒険せずに気に入ったメンバーを使い続けてしまう食わず嫌いタイプですが、触ってみて初めて分かる使いやすさがあるため、入れ替えの必然性を自然に生み出しているバランスや展開はうまいなと思いました。
良い:愛すべきキャラクターたち
「ペルソナ5」からのおなじみのキャラクター、怪盗団メンバーはもちろんのこと、今作の新キャラクター、AIのソフィーと公安警察官の善吉、2人にも十分な見せ場が用意されています。
これらはとってつけたおまけではなく、2人の抱える問題、覚醒についてのストーリー展開を含め納得のいくものであり、それによって2人に対する愛着も沸きます。
それぞれに特徴的な固有のペルソナも存在しており、新たな”仲間”として今作を盛り上げてくれていました。
次ページ:全体的な感想