【懐ゲー紹介】季節は”秋”「サンパギータ」感想&レビュー

冬間近(もう冬?)ですが、今回はやるドラシリーズより【秋】の1作「サンパギータ」を紹介します。

以下、ゲーム本編のPS版のスクリーンショットを掲載しています。核心的なネタバレはしていませんが、ゲーム画面を掲載しているため閲覧にはご注意ください。

★やるドラシリーズ”春”の1作「季節を抱きしめて」の紹介記事(↓)

★やるドラシリーズ”夏”の1作「ダブルキャスト」の紹介記事(↓)

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「サンパギータ」とは…?

「サンパギータ」は、1998年にPS用ソフトとしてソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)より発売されたアドベンチャーゲームです。のちにPSPに移植されていますがシリーズの中で本作だけがダウンロード配信はされていません。CEROは12歳以上対象の[B]。

本作は【やるドラシリーズ】として、季節(四季)をテーマに制作された(PS用ソフトの)4作品のうちのひとつで、【秋】が舞台となった1作です。

ちなみに【やるドラシリーズ】は4作品とも1998年に発売されており、本作は季節通りの3作目として10月に登場しています。

ただし今作に限っての季節的な雰囲気は、作中で過ゆく日々が【秋】とされているくらいで印象は薄め。いわばシリーズのコンセプト上そうなっているというか…そもそも秋が他の3つの季節より色を感じづらいというのがあるかなとは思います。

ストーリーはバイオレンス要素もありのシリアスさも含んだ内容となっています。

ちなみに…タイトルの「サンパギータ」とは、フィリピンの国花にもなっている最もポピュラーなジャスミン種の花から来ています(和名:マツリカ)。

作中でヒロインのマリアがサンパギータを売り歩いていたというフィリピンでの幼少期を語っていますが、これは実際にもフィリピンで見られる光景のようです。花言葉は「永遠の愛を誓う」。

【やるドラ】とは…?

そもそも【やるドラ(シリーズ)】とは…「みるドラマから、やるドラマへ」をキャッチコピーとした、①全編フルアニメーション(主人公以外ボイスあり)が、②アドベンチャーゲームの要素/度々挟まる多数の選択肢(プレイヤーの選択)を絡めて展開していく物語を楽しむことが出来るという、1度で2度おいしい的なコンセプトです。

シリーズは全作品とも企画・原作・アニメーション制作を「Production I.G」が担当しているという豪華さで、季節を主軸としながらも、ストーリー/デザイン/音楽等の要素が作品毎に異なっており、全く印象の違う作品に仕上がっています(それぞれ単体のお話です)。

プレイヤーが決断した数々の選択の結末はグッド/ノーマル/バッドとして本作は「28個」のエンディング、(バッドは特に)バラエティに富んだ内容で準備されています。

1周当たりのプレイ時間はそれぞれのエンドパターンにより大幅に変動し、序盤の選択肢で終わってしまう5分程度のもの(主にバッドエンド)もあれば、グッドエンドは1時間以上かかります。ボイスをどこまで聞くか、スキップを駆使するかなどでも変動します。

さらに本作は過去2作(「季節を抱きしめて」「ダブルキャスト」)ではなかった、主人公に音声がついています(好みはあると思いますが…)。

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ストーリー

まず【やるドラシリーズ】のストーリーは全て共通した要素があり『「大学生の一人暮らしの主人公(男)」と「記憶喪失の少女」が出会うストーリー』となっています。

そんな本作は、主人公(名前設定可)が合コン帰りに雨の中をずぶ濡れで歩いているところから物語が始まります。

パトカーが出動し、騒々しい深夜の町を家に向かって歩く主人公の前に現れたのは、路地裏に潜んでいた東南アジア系の顔、肌の色をした少女。警察を拒む彼女が雨の中で傘もささず裸足であることを心配し、主人公は自宅に連れて帰ることにします。

自宅に到着し、外見と話す言葉から彼女がフィリピン人であることを理解したものの、日本語を話せる彼女に事情を聞くと、自身の名前がマリアだということしかわからない(記憶がない)と告白されます。

何か手掛かりになるものがないかと、彼女が持っていたハンドバッグの中身を確認してみると、出てきたのは…「化粧品」、「カセットテープ」、「(幼少期の)写真」、「大金」、そして…「拳銃」

主人公はただごとではない状況を察したものの、記憶もなく、警察にも頼れず行くあてのない彼女をかくまうことに決め、彼女の記憶を探りながらの2人の共同生活が始まります。

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あれこれ感想

キャラクターの魅力

これまでにプレイした【やるドラシリーズ】の感想の際に毎回書いてしまっているのですが、本作もまたヒロインが魅力的に描かれていることはやっぱり伝えたいところです。「サンパギータ」のキャラクターデザインは「攻殻機動隊」シリーズで有名な士郎正宗氏。

そんな本作のヒロイン、マリア・サントスのCV担当は、林原めぐみ氏とこちらも豪華。

おそらく発売当時(98年頃)も既に有名な声優さんだったとは思いますが、印象的だったのがマリアがフィリピン生まれ(香港育ち)、日本語は独学習得という状況、すなわち、不安定な日本語(カタコト)を話すという点が声の演技で上手く表現されているところ。さらにそれがマリアという人物の魅力を高めているところはやっぱりプロは凄いなぁ…の一言でした。

他の主要なCV担当は、主人公:松本保典氏、(マリアの兄的存在である)ボーイ:大塚明夫氏と圧倒的安心感です。

同居生活と距離感

本作ではヒロインが1人(マリア)なことはもとより、警察を避け、知人がいない状況もあって中心的な登場人物が圧倒的に少なく(おそらく3人)、本編のほとんどが主人公とマリアの生活描写になっています。

これすなわち、必然的に寝食の期間も(おそらく)長いように想像できることから、シリーズの中では一番シンプルに「一緒に暮らしている/過ごしている」を感じるストーリー&ヒロインでした。

マリアが抱える不安や孤独も含め、はじめの警戒心から主人公に心を開いた後の、”生活”という距離の近さが生み出す好意も至ってシンプルかつリアルさを兼ね備えており、主人公が極貧バイト学生、激狭賃貸というのも時代(90年代制作)も込みでなんだかグッとくる要素が揃っていて、コインランドリーなんかが出てくるのも(ものめずらしそうに覗くマリアも)良かったですね。

ただしマリアを想っての良かれと思った(本能的な)選択は大概バッドエンドゆきと手厳しいので、ご注意を!(笑)

ジェットコースター展開

【やるドラシリーズ】のどの作品も非日常的な要素の組み合わせによってそれぞれの作品に色を感じますが、本作は異国から来た少女がヒロインであり、主人公は彼女を含めた海外マフィアの抗争に巻き込まれる(自らの意志で飛び込む)という出会ってからの怒涛のジェットコースター展開です。

ただしいて言えば、妖精(春)や猟奇的な二重人格(夏)といった空想味の強い前作までに比べると、(まだ)何かを引き当てたら現実に起こり得る話でもあるかも?と言えるような気がしました。

現実味があるから良いという話でもありませんが、シリーズで毎回存在する「主人公とヒロインの障壁」が今作では【国籍の違い】であって、主人公自身の力で超えられる未来を感じられた(感じられるエンディングがあった)のが良かったかなと。なにかしらの犠牲があって物語がまとまるため、手放しにハッピーエンドといえるのかは難しいところですが…。

ストーリーをうまく進行させるための強引さ、都合の良さはときたまに感じるものの、個人的には前述の主要な登場人物の少なさも相まって、ストーリーはコンパクトにまとまっている印象を受けました。

(なぜか)本作の話題や感想、レビューサイトなどを見かけないものの、もう少し知名度や、やるドラシリーズの中で本作が推し!という人がいても良い気がするくらいには十分な完成度だと言えます(シリーズ内での優劣は必要ない派ですが、逆にシリーズである以上の比較は仕方ないとも思います…)。

主人公の一般人味

本作の主人公は、(物語の展開上仕方のなさもあるものの)リアルな”(無害な)一般人”を絵にかいたような年相応の青年で、発言による男気はなんとか見せるものの、暴力を振りかざすプロ集団に当然のようにボコボコにされたり、彼ら相手に一目散に逃げるなど特殊能力は持ち合わせていません。

とはいえ主人公ということを過大評価しなければそれが至って普通というか…、だからこそプレイヤーも主人公と同じくマリアを狙うヤクザの組員たちに一方的にやられて苦痛を味わった際に、凶行に走る選択肢を選びたくなる(主人公を動かしたくなる)ようになっているんだろうなと思いました(それが良いか悪いかはご自身の目で確認を…)。

システム

周回は必須の(周回を楽しむ)作品ですが、その点の利便性としては、選んだことがある選択肢(の展開)はスキップ(早送り)が可能最序盤にショートカット選択が可能と周回におけるストレスは低め、遊びやすいものであるといえます。

スキップとショートカットを駆使して、エンディングをほとんど埋めた場合のプレイ時間は10時間以内。セーブスロットは5つ(PS)です。

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今「サンパギータ」を遊ぶなら?

2022年現在、本作を遊ぶには主に2種類の選択肢があります。

①:PS版のディスク
②:PSP版のUMD

ちなみにPS版は安価(PSソフト全体から見ても安価)で手に入りますが、PSP版は(何故か)高騰しています。

両方で遊んだ筆者的にはPSP版はUMDの読込音(シャーシャー音)が作品の性質上、頻度が高いこともあって物語への没入を削いでいる気がしました。遊ぶだけの目的(遊ぶことの快適さと値段)に重点を置くのであれば、①が圧倒的におすすめです(①はディスクの出し入れ作業が発生しますが…)。

PSP版(UMD)が高騰しているのはおそらくコレクター的なところによるものと思われ、内容は文字が綺麗になった(らしい)程度でしかないのでご心配なく(追加されたエピソードなどはありません)。

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