約束における原作とリメイク版の扱いの違い
リメイク版では…
ジェシーの一言
リメイク版「FF7R」においてジェシーから発されたティファのアバランチへの活動意欲の低さの指摘、これはオリジナル版「FF7」にはなかったシーン、言葉です。
そして「アバランチ」の活動を行う上で自分の目的のためにあらゆることを割り切ることが(ことも)重要であること、決意を持った人間が居なければ組織が成り立たないこと、強い決意を持っているからこそ籍を置いている仲間であるはずのティファの優柔不断さに腹立たしさを覚えるなど、ジェシーの気持ちも十分に理解できます。
(「アバランチ」の活動という点においてには)ティファのように人の良さだけではどうにもならないこと、意図せずとも曖昧な意思が敵(良く思わない人)を作ってしまっていること、それぞれの活動意欲の温度差など、これらが良い気分にならないとしてもあえて描かれていることは”物語の深み”という点でとても重要だと思った場面です。
この場面のジェシーはそこにティファがいないからこそ、そして(活動意思として)有能な人物(クラウド)を持ち上げるためにいった(ちょっと誇張した)言葉なんですよね。この嫌味ったらしい言い方は女子あるあるだよな…。なんか言い回しとかやけにリアルでしたもん。偏見?(笑)
ティファの精一杯
ここまでに書いてきたようにリメイク版でのティファは「アバランチ」の活動に積極的に参加しておらず、それが災いし自らが招いたピンチ(「伍番魔晄炉作戦」への参加と責務)とはいえ、抱え込む性格が相まってクラウドに直接的な言葉で「手伝って欲しい」「作戦に参加して欲しい」「ニブルヘイムの約束果たして(気づいて)」 とお願いすることが出来ません。
そんな中で彼女が発した精一杯の言葉が「かなり ピンチ」
言葉もさることながら、リメイク版の彼女は”自分自身”がピンチでだからヒーロー(クラウド)に助けて欲しい。という意思を持っていて彼女なりに押し付けず伝えようとしていることが分かります。
この直接的に言わず/言えず、(私は約束のことめちゃくちゃ覚えてるんだけど)クラウドは覚えていてくれてるかな?気づいてくれるかな?という淡い期待も含まれた言い回しに乙女心を感じますよね。
そんなティファのアピールに気づくことは出来なかった(この時点では約束を思い出していない)クラウド。
この場面での状況からすればクラウドの返答はティファのためを思っての言葉であり悪くないんですが、ティファはなんだか残念そうな反応です(まぁ約束に気づいてくれなかったからなんですが…)。
クラウドはここでは約束を思い出せず、ティファもそれ以上踏み込まず(踏み込めず)、そのまま会話は終了してしまいます。
ここでティファが約束をアピールしていたことに気づいていない「FF7」経験者も多かったのではないでしょうか?
のちにすべてを分かったうえでこのシーン(やりとり)を見返すと、クラウドが覚えていないことにしょげてるし、言っちゃおうかなと口ごもっているティファにグッときちゃいます…。
クラウドが自分で思い出す
ティファの前で「給水塔での約束」を思い出すことが出来なかったクラウドですが、ティファとのやりとりがあった夜、「アバランチ」の3人と秘密の作戦を決行中に排気口のファン?によって、排気口のファンと給水塔の歯車がリンクして?突然に約束を思い出します。
そこでティファとの7年前の約束である「ピンチのときにヒーローが助けてくれる」と、昼間の「かなりピンチ」というセリフがリンクし、「ティファ、ピンチって言ってたぁぁぁぁぁ!(心の叫び)」と気付きます。
そして「ティファのヒーローにならなきゃ!(筆者の妄想)」「ティファを助けてあげなきゃ!(筆者の妄想)」と握りこぶしまで作って噛みしめます。
思い出したキッカケ(排気口かよ?)とか、タイミング(今、目の前で困ってるのはジェシーじゃない?)とか、絶妙に微妙な感じは否めませんが(笑)、まぁそこは約束を思い出したインパクトに免じて許してあげましょう(何様)。
約束思い出したよ!
秘密の作戦から帰還したクラウドは、深夜に長く不在だったことを心配して家に来てくれたティファに早速約束の事を伝えます。
しかしさすがは?クラウドくん。「約束思い出したよ!」「ヒーローになるよ!」なんてストレートには言いません。
さも約束覚えていましたけどなにか?と言わんばかりに、「古い友達がピンチらしくてな」「そんな時は助けるって約束したんだ」(キリッ)とカッコよく決めてくれちゃいます。
心が乾ききった大人(筆者)はこのワードセンスを「クラウドまたイキっちゃってるわぁ~」「もうちょっと普通に言えばいいのにぃ~(クスクスニヤニヤ)」とへらへらしながら冷やかしのガヤ心理で聞いておりました。
でも、ティファはこのクラウドの(カッコつけた)セリフがグッときちゃいます。
ティファの立場/目線で言えば当然のことですが、自分が長年大切にしてきた約束(思い出)を相手も覚えていてくれた!約束を守ろうとしてくれている!ともなれば、そりゃあ嬉しいに決まってますよね。
約束を思い出したからこそ…
約束の価値
オリジナル版ではティファがクラウドに無理やり思い出させ(押し付け)ぞんざいに扱われた「給水塔の約束」が、リメイク版ではクラウド自身で思い出し意思を持って果たそうとしています。
リメイク版でのこの変貌ぶりを持って筆者が感じたのは、オリジナル版以上に大切に(重要に)この約束が扱われているということ。
なにより、<ティファとクラウドのお互いの好意や目に見えない絆>が、この「給水塔の約束」の扱い方によって強く描かれています。特にティファのクラウドへの好意に対して「給水塔の約束」が重要視されており、彼女の心にささるような描写(展開)になっているように感じました。
オリジナル版では物語の後半になる程に(真相が分かってくるほどに)、「ティファはなんでクラウドの事を好きになったのだろう?」「そもそも再会の時点で(ただの知り合いくらいで)自分の元に留め置こうとしたのはなぜ?」と筆者は違和感を抱きました。
しかしその違和感はここまでに書いてきたリメイク版の「給水塔の約束」の描写を持ってすれば解消されるんですよね。これはすなわちオリジナル版での違和感を解消するために今回の演出がリメイク版で行われたのではないかなと勝手に思ったりしています。
一言もあのことと発していない
リメイク版の終盤、神羅ビルに乗り込みルーファウス神羅との対峙後危機的状況に陥ったクラウドを助けに来たティファの「だらしないぞ、ヒーローなのに」というセリフ。
タイミング含め、ワードチョイスにぶちぬかれた人も多いのではないでしょうか?
ティファのこの言葉はクラウドが「給水塔の約束」を思い出したからこそティファが(オシャレに)言えるセリフであり、プレイヤーは最後にまた約束の存在を思い出す/記憶に残すことになります。
そしてリメイク版でのティファの「かなりピンチ」「ヒーローなのに」、クラウドの「助けるって約束したんだ」など、お互いが発したセリフのどれもが言わずもがな「給水塔の約束」のことのなんですが、クラウドもティファも作中「給水塔で交わした(あの)約束」とは一切言葉にしていません。
お互いにフレーズだけで約束を認識し、約束を介した会話をしているということです。
言葉にせずとも共有しているんですよね、2人だけで。あー妬けちゃう(笑)
この表現、エモ過ぎて筆者は震えちゃいましたわ..。
★「給水塔の約束」の1描写とっても、違う世界線の味が出ていました(↓)
★世界線について派生作品を整理してみました(一つの案)(↓)
参考にした資料
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[FINAL FANTASY VII]
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[FINAL FANTASY VII REMAKE]
© 1997, 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA / ROBERTO FERRARI
LOGO ILLUSTRATION:©1997 YOSHITAKA AMANO