今回は「十三機兵防衛圏」における、主人公のひとり”鞍部十郎”と彼に似た?風貌の”和泉十郎”など彼を取り巻く人物において、特に「どれが誰?」で「何がどうなっているの?」という点をまとめていきたいと思います。
★「十三機兵防衛圏」を理解するための概要とポイント(考察)(↓)
★年代と年齢早見表/混乱しそうなところまとめ(↓)
★「十三機兵防衛圏」のカップリングまとめ(解説&考察)(↓)
オリジナル
「探査機」によって新しい惑星に運ばれた遺伝子情報、すなわちクローンの元でもあるオリジナルの人物は「2188年の地球最後の15人」のひとり、和泉十郎です。
三佐の地位にあった元軍人で、比治山隆俊と薬師寺恵の父親(薬師寺望)の上司だった人物です。
2188年の和泉十郎について
・薬師寺恵の保護
…ナノマシン技術(の横流し)による地球汚染で感染してしまった薬師寺望から、娘の恵を託される。=この結果、薬師寺恵は「2188年の地球最後の15人」として『箱舟計画』における「適合者」のひとりになる。
・森村千尋との関係
…イベントアーカイブ(描写)はないものの、ミステリーファイルにて「森村博士と深い関係にあった」との記述がある。クローンのセクター配置が森村博士と同じ「セクター1」に設定されていたり、2周前のクローンにおいては互いに好意の対象であることが描かれている。
・2188年の森村博士のデータ
…『箱舟計画』におけるクローンが最終工程(18歳)を迎えた際に、森村千尋(のクローン)に2188年の森村博士の記憶を置き換える設定を行った。これは森村博士が関ヶ原瑛によって命を落としたあと、彼女の意志(クローンたちを導くための人物になること)を汲んでのことである。
★「2188年の森村博士のデータ」については森村千尋(冬坂五百里)の記事でまとめています。
これらの事から2188年の和泉十郎の行動は、構築された世界と本人以外の「適合者」へ影響を及ぼしているといえます。
クローン
ここからは2188年の和泉十郎の遺伝子情報から生まれたクローンの動きを順に紹介していきます。
作中では最後のループ=300回目のループを中心に物語が進行しており、過去(2周前、1周前)のループ(での出来事)から導かれていきます。
まず大前提として、和泉十郎(クローン)は「セクター1」=2089年生まれの設定(配置)となっており、そこから彼の物語は始まります。
2周前のループ
同じ「セクター1」=2089年生まれ(配置)の森村千尋、沖野司と行動を共にする(300回目のループから)”2周前”の和泉十郎。
・2104年(「セクター1」/16年目/15歳)
…「セクター1」の地上が”怪獣(ダイモス)”の襲撃により壊滅。
…3人は地下の中枢である「ユニバーサルコントロール(円盤/UFO)」とそこにあるカウントダウンを発見。
・2105年(「セクター1」/17年目/16歳)
…他のセクターへの移動(転移)を行っている(仕組みを把握)。
…「セクター4」と「セクター3」も”怪獣(ダイモス)”の襲撃を受け壊滅していることを確認(この時は侵略者と呼んでいる)。
ここで彼らのいる「セクター1」のカウンターが”0”になり、セクター(世界)が崩壊を始めたため、3人は他のセクターへ避難を開始します。
位置(座標)は「すみれ橋」に指定。
しかし(他のセクターも崩壊を始めているため)避難できるセクターが見つからず、沖野は唯一選択が可能な「セクター0」を設定します。この時の彼らは認識していませんが「セクター0」はデータ保存領域であり、「セクター1」~「セクター5」の居住空間とは異なるものでした。
そして(おそらくそのことが原因で)転送のタイマーがセット出来ず、沖野が犠牲となりながらも、和泉と森村を「セクター0」へ転送します。
ここで世界は全崩壊…【リセット】
この時の彼らは「転送」=「避難」だと思ってこの行動を取っていますが、実際には【リセット】の直前、「セクター0」に現時点(2周前の16歳時)の和泉と森村が”データとして”保存されたことになります。
これによって本来であれば【リセット】と共に消滅する存在だった、和泉(2周前)と森村(2周前)が(意図せずも)”データで残った”ことでループした新たな世界にユニバーサルコントロールの住人(AI)として出現することになります。
1周前のループ
世界(仮想空間)の【リセット】により、新しい世界が構築…(300回目のループの)”1周前”のループ。
・2089年(「セクター1」/1年目)
…1周前のループが始まった時点で存在している和泉十郎(と呼ばれる人物)は2人(A/B)。
A:和泉十郎(2周前)
…ユニバーサルコントロールの住人となった前周の和泉十郎(データ/AI)…16歳
B:和泉十郎(1周前)
…「適合者」として生まれた今周の和泉十郎(クローン)…0歳
2089年から再び始まった「セクター1」の1年目、避難場所に指定していた「すみれ橋」に”データ(AI)となった”16歳の和泉(2周前)と森村(2周前)が転送されます。
彼らは(新たに生まれたクローンである)0歳児の自分(1周前)を発見したり、(前周の)自分たちの存在/権限がこの世界から無くなっている(この世界にはない)ことに気づきます。
ただし16歳までの記憶(データ)を有していることから、(彼らはこの時点では自分たちの世界が過去に戻ったと思っていますが)自分たちが遭遇した15年後(2104年)の侵略者に備えるために歩みを進めます《イベントアーカイブ011》。
A:和泉十郎(2周前)
和泉(2周前)は、16歳から始まった今回のループの17年目(丸16年)=32歳までを過ごしています。16歳から31歳までイベントが飛ぶので、風貌(見た目)も変わります。
・2104年(「セクター1」/16年目/31歳…16歳+16年目)
…森村(2周前)と行動を共にし続けており、敷島の『宇宙計画』に関連する施設を破壊(=『宇宙計画』が世界を壊滅させる原因であるというところまで判明させている)。追手が来たため森村と別行動を取ることにし、自身は逮捕される。
・2104年(「セクター1」/16年目/31歳…16歳+16年目)
…「セクター1」の重犯罪者収容所に収監され、未決因E-426(以後:426)として取り調べを受ける。そしてここに呼ばれた今周の「適合者」である沖野(1周前/15歳)と、和泉(1周前/15歳)に接触する《イベントアーカイブ013》。
取調担当官の尾西いわく、426の素性は不明、供述も支離滅裂とのことですが、そもそも426の正体である和泉(2周前)の存在自体が(システムに割り込み保存されたもののため)想定外のことであり、これは当然の状況とも言えます。
では、このイベントを少し整理します。
ただし、426/和泉(2周目)が語る、沖野と森村とは…自身と同じ周回を生きた、沖野(2周前)と、森村(2周前)のことですが、尾西は(当然のように)今周を生きている「適合者」の沖野(1周前)と、森村(1周前)に辿り着きます。
そこでこの場に呼ばれた沖野(1周前)ですが、周回の違う沖野(1周前)と和泉(2周前)/426に接点はないため、尾西の「男(426)を知っているか?」という問いに、沖野は「見たこともない」と返答します。
沖野(1周前)と同じく、(間違いで)この場に呼ばれるはずだった森村(1周前)は「国外にいる」と語られています。
これについては明確な情報がなく予想にはなるのですが、426/和泉(2周目)への取り調べ中に「セクター1」への怪獣の侵攻が始まることから、侵攻時期を把握していた森村(2周前)が自身の(大切な)クローンである森村(1周前)を保護し、次のセクターである「セクター2」へ一緒に移動済みだったのではないか、そして尾西が辿り着いたのはその後だったのではないかという推測です。
直径30kmというセクターの規模に制限がある中での「国外」という表現は、把握できる空間(セクター1)に居ないというふうにも考えられるかと思います。尾西はシステムに管理された住人のため、自身の住む/生きる世界(セクター1)からいなくなった人物のことを、都合よく取り込み発言している(システムにさせられている)印象です。
事実、森村(1周前)が次の《イベントアーカイブ015》で「セクター2」に移動していることからしても、「セクター1」にいたはずの彼女を手助けした人物がいることになり、それが可能なのは前周からの知識があり、捕まらずに自由に動けていた森村(2周前)以外にはいません。
- 和泉(1周前)が収容所に呼ばれた理由は…?
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426/和泉(2周前)と、和泉(1周前)のDNAが完全に一致しているため。
プレイヤーとして真相を知っている今となっては、2人が同一人物のクローンであることからDNAが一致するのは当然だと理解できますが、和泉(1周前)からすると沖野(1周前)同様接点のない426/和泉(2周前)は見たこともない人物のため「知らない」としか言えません。
ここで怪獣の侵攻が始まり避難勧告が出たところで記憶(イベントアーカイブ)は終わりますが、怪獣の侵攻によって、426/和泉(2周前)がこの収容所を脱出できたことが次のイベントアーカイブで(再び)目的達成のために行動出来ていることから分かります。
・2065年(「セクター2」/17年目/32歳…16歳+17年目)
…世界を襲撃する侵略者である”怪獣(ダイモス)”が呼び起こされる原因が「適合者」にあることを突き止め、襲撃を起こさないために「適合者」たちを抹消していく《イベントアーカイブ015》。
イベントアーカイブでは「セクター2」にて、森村(1周前)、薬師寺(1周前)、井田(1周前)、さらに描写は在りませんが、和泉(1周前)、沖野(1周前)、関ヶ原(1周前)、東雲(1周前)を手にかけています(井田は生存したため、計6名を抹消)。
実際に「適合者」(の誰か1人)から”怪獣(ダイモス)”への信号が出ていることが事実とは言え、本人の無意識化で発信されているため、表面上はいわれのない無差別攻撃として和泉(2周前)の行動が非難されることはわかります(和泉の目的も理解はできますが…)。
これらの行動もあって「426」の存在が悪人(極悪人)として以後独り歩きすることになります。
そしてこの場に遅れて登場するのが、森村(2周前)です。
彼女は暴走する和泉(2周前)を撃ち、井田(1周前)を救出しますが、これは和泉(2周前)の目的を分かっていないがゆえの行動だと思われます。ただ感情(愛情)の面も含めて、この時に撃ったのはシリンジ銃だった=この時の和泉(2周前)は気絶しただけだと推測できます。
のちに語られますが、森村(2周前)が「セクター4」で迎えた”怪獣(ダイモス)”との最終決戦《イベントアーカイブ016》の直前に、和泉(2周前)は「セクター0」にある自身のデータ(記憶)を上書きしています。そしてこの最終決戦とはシリンジ銃で撃たれた後の話です。
すなわち和泉(2周前)はイベントアーカイブで言うと《015》と《016》の間に、前周(2周前)の16年分(0~16歳)に、今周(1周前)の16年分(16歳~32歳)を上書き=32年分のデータ(記憶)となり、次のループでは32歳から始まるようしたことになります。
和泉(2周前)が次回の転送先をどこに設定したのかは語られていませんが、次のループで森村(2周前)の転送場所に現れていないことから「すみれ橋」ではない/変えたことは確かです。
そして前周から行動を共にしていた森村(2周前)は最終決戦《イベントアーカイブ016》にて今周16年分(16歳~32歳)のデータを保存しなかった(出来なかった)ため、次周は再び16歳から始まる=結果的にここで2人に年齢差が生まれることになります。
★詳細は森村千尋の記事でまとめています。
森村(2周前)が主導したこの最終決戦に和泉(2周前)は参加していない(描写がない)ため、彼はそのまま今周の世界の終焉を迎えたと思われます。
B:和泉十郎(1周前)
・2065年(「セクター1」/16年目/15歳)
…和泉(2周前/31歳…16歳+16年目)と接触する。
和泉(1周前)についてはイベントが少なく、存在が確認できるのは1つ。先に紹介した和泉(2周前)/426に面会に訪れる《イベントアーカイブ013》だけです。
そして重犯罪者収容所で「セクター1」への怪獣の侵攻が始まり、その後どこまで生存していたのかは不明ですが、最長でも1年以内に和泉(2周前)によって「適合者」抹消のターゲットとなっています《イベントアーカイブ015》。
これにより、15歳または16歳の和泉(1周前)は、データとして残らなかった=消滅したことになります。
ここで世界は全崩壊…【リセット】
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