”鞍部十郎(和泉十郎)”の紹介(解説&考察)-その①に続いて、この記事ではその中でも和泉(2周前)であり、”426”の通り名でも呼ばれる人物がAIとなって動いていた流れを-その②として整理していきます。
★「十三機兵防衛圏」を理解するための概要とポイント(考察)(↓)
★年代と年齢早見表/混乱しそうなところまとめ(↓)
★「十三機兵防衛圏」のカップリングまとめ(解説&考察)(↓)
和泉(2周前)/426
前回(-その①)に引き続き、姿が無くなってからの和泉(2周前)/426の動きを整理していきます。
一応書いておくと…和泉(2周前)は、別名「426(囚人426)」であり、各キャラによって呼び名が変わることで混乱しやすいのですが、2人は同一人物です(今回は426と表記して紹介していきます)。
★ここに至るまでの詳細は「鞍部十郎と和泉十郎(解説&考察)-その①」記事で紹介しています。
和泉(2周前)/426について、重複する情報もありますがもう1度整理しておくと…
2周前の「適合者」(現在は「元適合者」)であり、最後(300回目)のループに32歳で再生された、唯一過去2周分(のループ)の記録/記憶をもつAIです。
2周前(のループ)
・「適合者」として生まれる(0歳)
・0歳-16歳の記録を「セクター0」に保存
1周前(のループ)
・16歳の記録で再生(AI)
・16歳-32歳の記録を「セクター0」に上書き
今周(のループ)
・32歳の記録で再生(AI)
・40歳で森村(2周前)により抹消される
そしてここで押さえておきたいのは、最後(300回目)のループ時には年齢が物語る通り、2周前(のループ)から積み重ねた経験、その記録を「セクター0」に取り続けた結果、この世界の仕組みを一番把握している人物であるということです。
(主に)鞍部十郎の夢に断片的に登場する和泉(2周前)/426が悪役的で、時に残酷な決断を下していても、そのタイミングを読み解けば(時系列に並ぶと)、彼が取っている行動については(追々ではあるものの)納得すること、彼の働きの大きさ(重要性)に気づくことが出来るのです。
ただ情報開示の量や順番で彼を黒幕と思わせるミスリードは効いていて、(構成として)非常に上手い点もまた「十三機兵防衛圏」の魅力でもあります。
データ(AI)として復活
・2100年(「セクター1」/12年目/32歳)
…井田鉄也によって「セクター0」に保存されていたデータで再生される。
今周(300回目)のループにおいて、9年目(40歳時)に森村(2周前)によって抹消された和泉(2周前)/426。
その後…如月兎美(1周前)の復活を望む井田鉄也(1周前)が、和泉(2周前)/426が行っていた研究情報を得るために「セクター0」に保存されていた彼のデータを、無機質な宙づりドロイドにインストールします。
これは426が抹消されてから3年後…今周(300回目)のループの12年目=2100年/「セクター1」の敷島の研究所でのことです《イベントアーカイブ022》。
そして井田は《イベントアーカイブ022》の時点で既に、426の知る研究情報を引き出そうと彼のデータのインストールと消去を繰り返しており、その行為を彼に指摘されています。
ではここでいくつか整理しておきましょう。
井田が無機質ドロイドにインストールした426は「セクター0」に保存されていたデータであり、「セクター0」には前周の最後に426が自身で保存(上書き)した32歳のデータがあることは確実です。
そして40歳で森村(2周前)に抹消されるまでに426(または誰か)がさらに保存/上書きしたと取れる描写(言動)はないため、更新されることなく32歳のデータが残っていたと推測出来ます。
すなわち、32歳-40歳の和泉(2周前)/426の記憶…特に森村(2周前)に抹消されたことは保存されておらず、記憶上は消失(本人から欠落)していると言えま…。
和泉(2周前)/426と森村(2周前)が対峙する抹消時の記憶は森村(2周前)側のもので、冬坂五百里が投薬アンプルによる夢として見ています(426の記憶ではない)。
426が井田に研究内容を明かした描写はありませんが、この技術こそが「適合者」に自身の記憶を植え付けようとしていた森村(2周前)/森村先生が冬坂五百里に行っていた方法…アンプル処方だと思われます(他の投薬該当者も同様)。
★井田の目的については「因幡深雪の解説&考察」記事で紹介しています。
ちなみに、(セクター1基準)2100年時点での各人物の年齢を整理しておくと…
・和泉(2周前)/426…32歳(データから再生)
・井田…27歳(16歳+12年目)
・森村(2周前)…27歳(16歳+12年目)
・如月(1周前)/因幡深雪…16歳(データから再生)
・適合者(今周のクローン15人)…11歳(生まれて12年目)
・2100年(「セクター1」/12年目/32歳)
…如月ドロイドを奪い(乗っ取り)逃亡する。
項目を分けましたが、同2100年の井田による再生(復活)時、井田は426から研究情報を引き出すことを諦め、データを削除しようと作業に入ります。
その際、この場に居合わせた如月(1周前)のデータがインストールされていた如月ドロイド(完成形)と、426のデータがインストールされていた、無機質ドロイド(脚なし)を426が意図的に入れ替え、如月ドロイドを乗っ取り逃亡します。
これは426が前回のインストール時に(今回逃亡を決行するために)準備しており、井田が426のデータを何度もインストールしたがゆえの結末とも言えます。
・2104年(「セクター1」/16年目/36歳)
…関ヶ原瑛と取引し「セクター1」を脱出する。
426が如月ドロイドを奪ってから4年後…。
2064年(16年目)の「セクター2」で起こった『機兵汚染事件』による強制転送で「セクター1」に関ヶ原瑛が転移。
”怪獣(ダイモス)”の襲撃で既に廃墟となった「セクター1」に如月ドロイドの姿で取り残されていた426は、関ヶ原が乗ってきた機兵を調べ、彼が(自身が作成した)【DD426】に感染していることを知ります。そこで【DD426】の進行を遅らせる薬…「(経口NM)C0204」を提供することを条件に「セクター1」から連れ出してもらうことを関ヶ原に依頼します。
これはセクターを移動するためのゲート(転移ゲート)を操作する権限を「適合者」だけが持っており、関ヶ原はその対象者のため。426(ドロイド体)はデータ(AI)であり「”元”適合者」なのでこの権限を持っていません。これこそが「セクター1」に取り残された(されていた)原因でもあります。
ここでもいくつかの疑問を整理しましょう。
【DD426】が生まれた(作られた)本来の来目的は、”怪獣(ダイモス)”を呼び出す【Dコード】を脳から物理的に切り離すため。しかし同時に脳がダメージを受けて激しい痛みとともに記憶を失っていくという副作用があるとされています《ミステリーファイル074》。
製作自体は名前に426と付いているだけあって、和泉(2周前)が「適合者」たちから【Dコード】を発信させないために作ったものです(だと思われる)。
これは1周前(のループ時)に「適合者」ごと抹消するに至った彼の思考《イベントアーカイブ015》に近い(=そのころに作成?)ように感じますが、彼は(リスクの面でか?)実際には使用していません。
しかし今周(のループ)で発見され(残っており)、早く次のループに行きたい(今周のループを終わらせたい)井田が悪用した形です。汚染濃度(感染状況の長さ)により酷ければ数日、軽度でも1か月で記憶が無くなるといわれています。
「(経口NM)C0204」は2104年に426/和泉(2周前)が作成し、受け取った関ヶ原が、同じく【DD426】に感染してしまっている十郎/(鞍部十郎)や東雲を救おうと、「セクター4」にいる森村(2周前)/森村先生に届けています。
しかし「ナノマシンに無意味な処理を実行させ、時間を稼いでいるだけ」と沖野司が語っている通り、【DD426】への対応はこれが限界とされています。
関ヶ原は早めに感染を知り、薬を手に入れたものの結局記憶はなくなっていますし、強制転送から居場所を見つけるのが遅くなった東雲は薬を飲んでも手の付けようがない重度の感染状況、十郎に至っては感染してなお汚染された機兵に長時間搭乗したため完全に記憶を無くしています。
・1985年(「セクター4」/16年目/36歳)
…1985年の咲良高校で南奈津乃を襲撃する。
関ヶ原に薬(C0204)とフェイザー銃を渡し426…姿は如月(ドロイド)が転移した先は、重要人物が集まりだしている最後の戦いの場所「セクター4」。
426は本格的に計画に取り掛かるために咲良高校へ向かいます。
(つづきます…)
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