世界線の考え方
世界線のルール
当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、ゲーム内を生きるキャラクターたちは別世界線の存在を知る由もありません(筆者は知らないと解釈しました)。
もちろん各世界線で起こったこと(起こっていること)の情報、記憶、知識もないといえるでしょう。
これは私たちが生きていることと同じだと考えると分かりやすいです。
パラレルワールドがあるとは(基本的に)思ってないじゃないですか?たとえ「パラレルワールドがあるよ!」「人生N回目なんだよ!」と誰かに言われたところで別世界(線)の知識は持ち合わせていないですよね?
ゲーム内のキャラクター達も本編内での言動から察するにこの状況にあると考えていいと思います(ここに当てはまらない人物がいるのは後述)。
①の世界線を経験していようとも、②の世界線を生きようとも、③の世界線が遅れて進行していようとも、線上を生きる自分は常に人生1回目、「未来」「運命」なんぞや?状態のはずです。
★世界線について派生作品を整理してみました(一つの案)(↓)
初心者と経験者の違い
そしてここまでのことから言えるのは、初心者はゼロ知識でリメイク版の物語(だけ)を楽しめばいいということ。
世界線の存在を提示されたところで初見の方は混乱してしまいますし、そもそも初心者であれば世界線を気にする必要がないようにストーリーは描かれています(ザックスのシーンは「FF7R」が完結した際に意図が分かるように描かれるのではないかなと)。リメイク版が「FF7」の物語の全て。その解釈で(でも)現時点ではいいのです。
逆に言えば経験者は、オリジナル版「FF7」との違い(世界線の違い)を楽しむべきなのだと思います。世界線の存在は経験者しか楽しめないポイントです。
この初心者と経験者で見える風景が違うという楽しみ方、どちらだとしても物語が新鮮に映るように配慮されていることを別世界線を大前提として考えるほどに筆者は感じています。
物語の核(の一つ)
ここまでに提示してきた《複数の世界線の存在》と《世界線におけるルール》がありますが、そこに外れる存在、別世界線のことを知っていそうな人物がリメイク版の物語で際立っていますよね?
そうです、エアリスです。
エアリスは何らかの影響、又はセトラ(古代種)の能力で、②の世界線を生きながらにして《運命》という名の別の世界線(①の世界線)の出来事を知っていそうな描写が時々に入ります。
では皆と同じようにレールに沿っていくはずだった世界線の中で、エアリスが影響を受けたものは何か?
①の世界線にはいなかった存在、今作で明らかに不穏な行動を取る存在。
・・・ もうお分かりですよね?
★フィーラーとエアリスの関連性について考察記事(↓)
★より、さらに!に深堀りしてみた記事(↓)
なぜ複数の世界線が存在するのか?
世界線の存在に気づき、その存在意義に疑問を唱えるのは(筆者を含め)「FF7」経験者が大半でしょう。ではなぜこのような描き方になったのか?
新しいものを生み出すということ
極論を言うと「リマスタ-」ではなく「リメイク」なんだよ。という一言で片付いちゃうのかなと思います。
(画像を)綺麗にするだけではなく、物語を作り直すわけですね。ベース(オリジナル)はありつつも新しい物語にするために生まれた別世界(線)という設定。各所は生かすけど同じものにはしないという制作側の決意を表したような設定ではないでしょうか。
制作側の目的を読み取る
ただそれだけ(ゲーム的な設定)で片づけたくはない、もっと考察に生かしたい一言が「アルティマニア」のインタビューページに載っていました。
ストーリーとシナリオを担当した野島一成氏は『「COMPILATION of FINAL FANTASY VII」(FF7の派生作品たち)で増えて行った設定をひとつにまとめたい。』と語っています。すなわち「FF7R」では、これまでに生まれてきた「FF7」はもちろんのこと派生作品も組み込まれた上での物語が”新たに”作られている(作られていく)と考えられます。
これは様々な派生作品で生まれた、後追いの情報や設定、プレイヤーが感じた「FF7」との(些細な)矛盾や相違が一堂に会することになるわけです。
そしてそれらを制作側は総まとめしようとしているようです。
「FF7」のファン界隈では「オリジナル版をなぞるだけで良かったのに…」という意見は多く存在し、その意見も(とても)理解は出来るのですが、制作側としては、派生作品も取り込んでリメイク版を作り上げることを(も)目的の一つとしており、それらを達成するためには「FF7」ではない世界線が必要、オリジナル版に付け足す程度では回収しきれないことが多々あるということなのだと思います。
このインタビュー記事を読んだことで、筆者が派生作品をプレイした中で感じていた大きな違和感の一つが《別世界線》であることや《各派生作品を取り込んでいる》という前提によって腑に落ちたことがありました。これは自己満足ではあるもの非常に嬉しかったので記事を書きました(以下参照)。
★エアリスとザックスの関係についてオリジナル版とリメイク版を比較しました(↓)
★そもそもエアリスはザックスの最期を知っているのでしょうか?(↓)
★外伝小説のキャラクターもリメイク版で登場しています(小説の感想)(↓)
運命の中で起こる変化や誤差
「FF7」の設定そのものに対しても現在の社会の視点/価値観なども取り込む(考慮する)必要があった(それらも別世界線にすることによって可能となった)と思われます。
例えば、反神羅組織「アバランチ」について。
「FF7」ではサラっと流していたミッドガル脱出までのストーリーを深堀りする際、ゲーム世界とはいえ褒められたことではない「アバランチ」の行動についても因果関係を変える(プレイヤーが納得のいくものにする)必要があったのだと感じました。
20年以上前に作られた「FF7」の物語そのままに表現すると、「アバランチ」の行動や末路ってリアルに詳細に描くほどに特大ブーメランにも程があり、民間人巻き込みまくりの”悪”であることを際立たせてしまうと思います。
そこで少なくともやっていいことではないけど、そうなる気持ちも分かる(ジェシーの話)とか、諸悪の根源の描き方(神羅のおぞましい狙い)などを、”「FF7」に(微妙に)違和感が出てしまうけど付け足す”のではなく、”別の世界線で生まれた運命の中で起こる変化や誤差”によるものとして”新たに”描いたのだと受け取れました。
この”変化や誤差”はリメイク版の中で随所に表れており、「FF7」経験者はリメイク版とオリジナル版の”違い”を楽しむことが可能です。
★フィーラーの守る運命の中で起こる、変化”や”誤差”について(↓)
★クラウドとティファが交わした「給水塔の約束」の一連の流れも分かりやすい”変化”(↓)
★クラウドの性格(ティファとの関係)一つとっても、原作との”変化(表現の違い)”(↓)
参考にした資料
記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。
[FINAL FANTASY VII]
Copyright (C) 1997, 2019 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
[FINAL FANTASY VII REMAKE]
© 1997, 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA / ROBERTO FERRARI
LOGO ILLUSTRATION:©1997 YOSHITAKA AMANO